東南アジアの熱気に包まれるベトナムで、今、日本の伝統文化である「日本酒」が新たな一歩を踏み出しています。新潟県長岡市に拠点を置く水処理装置のスペシャリスト、ワールドスイコーが、ハノイ近郊で現地生産に向けた壮大なプロジェクトを始動させました。2019年10月05日現在、試験生産がいよいよ本格化しており、日本酒ファンのみならず、ビジネス界からも熱い視線が注がれています。
今回のプロジェクトは、新潟市の名門・塩川酒造とベトナムのビール最大手ハベコ(ハノイビール・アルコール飲料総公社)が手を取り合うという、非常に強力なタッグによって実現しました。SNS上では「ベトナム産の米でどんな味が生まれるのか楽しみ」「新潟の技術が世界に広がるのは誇らしい」といった期待の声が続出しています。単なる輸出ではなく、現地の素材を活かした「現地生産」にこだわる姿勢が、多くの共感を呼んでいるようです。
伝統の技と最新設備の融合!ハノイに誕生した「冬」の環境
本来、日本酒造りは気温が低い冬の時期に行う「寒造り」が理想とされています。しかし、常夏のイメージが強いベトナムでは環境の確保が大きな課題でした。そこで、ハベコの工場内に室温をセ氏5度前後に保てる専用設備を構築。これにより、ハノイにいながらにして日本の冬のような最適な醸造環境を再現することに成功しました。まさに、エンジニアリング技術と醸造の知恵が融合した瞬間と言えるでしょう。
2019年08月下旬からは、杜氏(とうじ)である塩川和広社長自らが現地に赴き、仕込み作業を開始しています。ちなみに「杜氏」とは、酒造りにおける最高責任者の呼称であり、いわばオーケストラの指揮者のような存在です。今回はベトナム産のうるち米やもち米を使い、製法の異なる4種類の酒を醸造。約1500本から1600本の生産を予定しており、年明けには待望の試飲会も計画されているとのことです。
さらに驚くべきことに、酒造りに最適な専用米「五百万石」の試験栽培までもがハノイ近郊で始まっています。2019年10月には500キログラムを超える収穫が見込まれており、年末から来春にかけては、この現地産「五百万石」を使った日本酒造りも予定されています。地産地消の精神を徹底するこの取り組みは、ベトナムの農業発展にも寄与する素晴らしい試みだと私は確信しています。
水処理技術が拓く未来と日本酒輸出の急成長
なぜ水処理装置の会社が日本酒を手掛けるのでしょうか。そこには、美味しい酒に欠かせない「水」へのこだわりがあります。ワールドスイコーは、酒造りを通じて自社の高度な水処理技術をアピールし、ベトナム国内でのインフラ需要の開拓も視野に入れています。2017年10月にホーチミンへ現地法人を設立するなど、着実に足場を固めてきた彼らにとって、日本酒は最高の技術プレゼンテーションなのです。
2018年のベトナム向け日本酒輸出額は、前年比で約65パーセントも増加しており、富裕層を中心に日本酒ブームが巻き起こっています。2019年09月11日には新潟県とベトナム計画投資省の間で経済交流の覚書も交わされ、官民一体となったサポート体制も整いました。単に酒を売るだけでなく、現地の文化に根ざしたモノづくりを追求する彼らの姿勢こそ、真のグローバルビジネスの在り方ではないでしょうか。
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