世界経済を揺るがし続けてきた米中の貿易摩擦に、ついに一筋の光が差し込みました。2019年10月11日の米国株式市場において、ダウ工業株30種平均は3日続伸を記録し、一時は上げ幅が500ドルを超えるという熱狂的な展開を見せています。この背景にあるのは、両国が農産物や通貨分野に限定した「部分合意」に達したというニュースです。
SNS上では「ようやく最悪のシナリオが回避された」「年末に向けたラリーの号砲か」といった安堵と期待の声が溢れています。今回の合意により、10月15日に予定されていた対中制裁関税の引き上げが見送られることとなりました。これは、泥沼化していた関税の応酬が一旦の「休戦」を迎えたことを意味しており、投資家の心理を大きく改善させています。
ここで注目すべきは、中国での売上比率が高い企業の躍進でしょう。iPhoneで知られるアップル社が約1年ぶりに上場来高値を更新したほか、建機大手のキャタピラーや事務用品のスリーエムといった「中国関連銘柄」に買いが殺到しました。実体経済の悪化という崖っぷちで踏みとどまったことは、市場にとってこれ以上ない好材料となったのです。
景気後退の懸念は去ったのか?市場の新たな視点
専門家の間では、この休戦が米国経済に与える影響をポジティブに捉える動きが広がっています。FTNフィナンシャルのクリス・ロウ氏は、関税引き上げの見送りによって「景気後退(リセッション)」に陥るリスクが著しく低下したと分析しました。今後は経済が急激に冷え込むのか、それとも緩やかな減速に留まるのかが焦点となるでしょう。
ここで重要なキーワードとなるのが「EPS(1株当たり利益)」です。これは企業の純利益を発行済みの株式数で割った数値で、株価の割安・割高を判断する重要な指標となります。米国では企業による積極的な「自社株買い」が進んでおり、2018年以降で発行済み株式数は2%以上も減少しました。分母が減ることで、利益が多少落ち込んでもEPSが維持されやすい構造になっています。
私個人の見解としては、今回の合意はあくまで「一時的な停戦」に過ぎないと考えています。しかし、不透明感が支配していたマーケットにおいて「最悪を免れた」という事実は、投資家が再びリスクを取るための十分な免罪符になります。完全解決ではないにせよ、2019年の年末にかけて株価が一段高を目指すシナリオは、非常に現実味を帯びてきたと言えるでしょう。
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