古都・京都の街並みに、新たな芸術の息吹を感じさせる拠点が産声を上げました。2019年10月第1週、京都駅からもほど近い場所に小劇場「THEATRE E9 KYOTO(シアターE9京都)」がオープンし、演劇ファンの間で大きな注目を集めています。この記念すべき幕開けを飾るオープニング企画として、日本を代表する劇作家・平田オリザ氏率いる劇団「青年団」が、数年ぶりとなる京都公演を敢行いたしました。
今回上演された作品は、劇団のレパートリーの中でも屈指の名作として知られる『走りながら眠れ』です。大正時代の思想家・大杉栄と伊藤野枝の最期を描いたこの物語が、真新しい劇場の空間に深い余韻を残しました。SNS上では「新しい劇場の匂いと共に、濃密な演劇体験ができた」「京都の文化レベルがさらに上がるはず」といった期待に満ちた声が数多く寄せられており、地域の芸術拠点としての役割に熱い視線が注がれています。
学生演劇の聖地・京都に刻まれる新たな歴史
京都という土地は、古くから「学生演劇のメトロポリス」としての顔を持ってきました。実際に、現在第一線で活躍されている辰巳琢郎さんや生瀬勝久さん、そして圧倒的な演技力で知られるキムラ緑子さんといった名だたる俳優陣も、京都の小劇場シーンから羽ばたいていった才能たちです。こうした土壌があるからこそ、民間の手によって誕生した「E9」という存在は、演劇界にとって希望の光と言えるのではないでしょうか。
「小劇場」とは、一般的に客席数が100から300程度の小規模な劇場のことを指しますが、舞台と観客の距離が極めて近く、演者の呼吸や微細な表情の変化までダイレクトに伝わるのが最大の醍醐味です。平田オリザ氏が提唱する、日常に近い言葉で綴られる「現代口語演劇」にとって、この濃密な空間はまさに理想的な環境といえます。大規模なホールでは味わえない、魂がぶつかり合うような緊張感がここには確かに存在しています。
編集者の視点から見れば、公的な支援だけでなく、民間の力が結集してこうした「場」が守られた意義は極めて大きいと感じます。2019年10月10日現在、多くの劇場が存続の危機に直面する中で、京都に新たな火が灯ったことは、若き才能たちが挑戦を続けるための最高のギフトになるはずです。この劇場が、次世代のスターを輩出する新たな「聖地」へと成長していく様子を、私たちは共に見守っていく必要があるでしょう。
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