日本銀行が掲げ続ける「異次元緩和」という大きな旗印が、今まさに複雑な岐路に立たされています。2019年10月11日現在、日銀の幹部たちが口を揃えて「1円でも増えていればいい」と語る背景には、資金供給量の拡大ペースが目に見えて鈍化しているという切実な現実があるようです。かつてのような勢いを失いつつある緩和策の裏側で、政策の整合性を保とうともがく中央銀行の苦悩が浮き彫りになっています。
そもそも「マネタリーベース」とは、日本銀行が世の中に直接供給するお金の総量を指す専門用語です。具体的には、私たちが普段使っている紙幣や硬貨に加え、民間銀行が日銀に預けている「当座預金」を合算したものを意味します。2013年04月にこの異次元緩和がスタートした当初、その伸び率は前年比で約20%という驚異的な数字を記録していましたが、直近の2019年09月にはわずか3%にまで沈み込んでしまいました。
日銀が直面している最大のジレンマは、市場で国債を買い入れ続けることによる過度な金利低下のリスクです。これ以上の金利低下は金融機関の収益を圧迫し、経済の健全性を損なう恐れがあります。一方で、異次元緩和の柱である「資金供給量の拡大」という看板を下ろせば、金融緩和の姿勢が後退したと市場に判断される可能性も否めません。こうした板挟みの状況から、日銀は苦肉の策として上場投資信託(ETF)の購入なども活用しています。
SNSでの反響と問われる緩和の出口戦略
SNSなどのネットメディア上では「出口が見えない緩和策に不安を感じる」という慎重な意見や、「もはや実質的な限界が来ているのではないか」といった厳しい指摘が相次いでいます。日銀が「1円でも増やす」という象徴的な姿勢に固執すればするほど、市場との対話がより複雑化し、政策の透明性が失われる懸念も浮上しています。緩和開始から6年以上が経過した今、当初の勢いと現在の鈍化の差はあまりにも歴然としています。
編集者としての見解ですが、現在の日本銀行は「引くに引けない戦い」の中にいるように思えてなりません。マネタリーベースの拡大を継続することの政治的・心理的な意義は理解できるものの、実体経済への効果と副作用のバランスを再考すべき時期に来ているのではないでしょうか。2019年10月11日の今、私たちは中央銀行がどのようにしてこの「複雑にきしむ歯車」を修正していくのか、その一挙手一投足を見守る必要があります。
コメント