動画配信サービスの雄、米ネットフリックスが驚異的な躍進を見せています。2019年10月16日に発表された2019年7月期から2019年9月期までの第3四半期決算は、売上高が前年同期比31%増の52億4491万ドル(約5700億円)を記録しました。さらに純利益も65%増の6億6524万ドルに達し、売上・利益ともに四半期ベースで過去最高を更新しています。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いといえるでしょう。
注目すべきは、サービスの成長を測る最重要指標である「有料会員数」の推移です。2019年9月30日時点での全世界の会員数は1億5833万人に到達しました。直近3カ月で677万人の純増となっており、前四半期に見られた失速懸念を払拭する力強い数字を叩き出しています。SNS上でも「勢いが止まらない」「やはり独占コンテンツが強い」といった感嘆の声が相次ぎ、同社のブランド力の高さが改めて証明されました。
ヒット作連発で米国市場の懸念を払拭
投資家の間で不安視されていたのは、拠点となる米国市場の動向でした。2019年4月期から2019年6月期にかけては、実に8年ぶりとなる会員数減少を記録し、市場には動揺が走ったものです。しかし、2019年7月期以降はその流れを断ち切り、51万7000人の増加に転じて6062万人の大台を維持しました。このV字回復を支えた最大の功労者は、1980年代を舞台にしたSFホラーの金字塔『ストレンジャー・シングス 未知の世界 3』です。
独占配信となる「オリジナルコンテンツ」こそが、ユーザーを惹きつける最大の武器になっています。ネットフリックスは膨大な制作費を投じて自社作品を制作していますが、これが競合他社との決定的な差別化要因となりました。流行に敏感な層がSNSで作品について熱く語り合い、それが新たな会員を呼ぶという理想的なエコサイクルが構築されています。単なる配信プラットフォームを超え、文化の火付け役としての地位を固めている印象です。
『全裸監督』がアジアを席巻!グローバル戦略の成功
海外市場での成長も目覚ましく、会員数は626万人増の9771万人に達しました。特筆すべきは、2019年8月8日に公開された日本発のドラマ『全裸監督』の影響です。俳優の山田孝之さんが主演を務め、放送禁止のパイオニアと呼ばれた村西とおる氏の半生を描いたこの作品は、日本国内のみならずアジア全域で爆発的なヒットを記録しました。地域に根ざしたローカルコンテンツを世界へ届ける戦略が見事に的中した形です。
一方で、財務面では「フリーキャッシュフロー」の赤字が5億5115万ドルに及ぶなど、課題も透けて見えます。ここで言うフリーキャッシュフローとは、会社が事業で稼ぎ出したお金から、将来の成長のための投資を引き、最終的に手元に残る自由な現金のことを指します。コンテンツ制作への莫大な先行投資が続いているため、現金収支はマイナスですが、これは将来の覇権を握るための攻めの姿勢の表れといえるでしょう。
編集者の視点から見れば、2019年後半はディズニーなどの巨大資本が参入し、動画配信戦争は激化の一途を辿るはずです。しかし、ネットフリックスが示した「質」へのこだわりと、国境を越える物語の力は、そう簡単に崩れるものではないと確信しています。2019年10月期から2019年12月期の売上高も前年比30%増を予想しており、次なるヒット作が世界をどう熱狂させるのか、期待せずにはいられません。
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