2019年10月17日、世界が固唾を呑んで見守るなか、欧州の運命を左右する大きな動きがありました。ドイツのメルケル首相とフランスのマクロン大統領は、前日となる2019年10月16日に南仏トゥールーズで顔を合わせ、緊迫するイギリスのEU離脱交渉について前向きなメッセージを発信したのです。
両首脳は共同記者会見の場で、イギリスと欧州連合(EU)が早ければ2019年10月17日にも離脱条件で合意に達することへの強い期待感を表明しました。メルケル氏は「ゴール直前のラストスパートに差し掛かっている」と例え、合意の足音がすぐそこまで聞こえていることを強調しています。
一方のマクロン大統領も、交渉の場が非常にポジティブな雰囲気に包まれていることを明かしました。明日の首脳会議で正式に追認できる段階へと進むことを望む同氏の言葉からは、長引く混沌に終止符を打ちたいという欧州各国の切実な願いが透けて見えるのではないでしょうか。
SNS上では、この独仏首脳の姿勢に対して「いよいよ決着か」と期待する声が上がる一方で、「何度も裏切られてきたから、まだ信じられない」といった慎重な意見も散見されます。経済への影響を懸念する投資家たちの間でも、この24時間の動向が最大の関心事となっているようです。
立ちはだかる「北アイルランド問題」という高い壁
しかし、楽観視できない現実も横たわっています。EU側のバルニエ首席交渉官は、2019年10月16日の段階でも「解決すべき課題が依然として残っている」と釘を刺しました。焦点となっているのは、英領北アイルランドと地続きのアイルランド共和国との間の国境管理です。
ここでいう「国境問題」とは、物理的な検問所を設置するかどうかの議論を指します。かつての紛争の歴史から、厳格な国境管理(ハードボーダー)は平和を脅かす恐れがあるため、関税のルールをどう適用するかが極めてデリケートな専門的課題となっているのです。
ジョンソン英首相も「良い合意に至る可能性はあるが、まだその地点には到達していない」と言葉を選んでいます。2019年10月16日夜の時点でも交渉は断続的に続いており、一部の英メディアは同日中の決着は難しいとの見方を伝えていました。予断を許さない状況は今も続いています。
個人的には、今回の交渉が単なる政治的な駆け引きを超え、欧州の結束を試す試金石になると考えています。ジョンソン首相は「合意なき離脱」も辞さない強硬姿勢を見せてきましたが、もし2019年10月19日までに議会を通過させられなければ、法律で離脱延期の申請を義務付けられています。
2019年10月17日から18日にかけて開催されるEU首脳会議は、まさに歴史の分岐点となるでしょう。ここで奇跡的な合意が成されるのか、あるいは再び混迷の度を深めるのか。私たちは今、欧州の新しい形が決まる決定的な瞬間に立ち会っていると言っても過言ではありません。
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