石弘之氏が描く『環境再興史』の衝撃!公害の街・川崎や多摩川の再生から学ぶ自然共生の未来

長年にわたり公害や地球環境の最前線を追い続けてきた元新聞記者の石弘之氏が、自身の集大成ともいえる一冊『環境再興史』を2019年10月19日までに上梓されました。本書は単なる環境破壊の記録に留まらず、日本各地で起きた環境悪化の歴史と、そこからの劇的な「回復」のプロセスに焦点を当てています。著者が「遺言のつもりでまとめた」と語る言葉からは、並々ならぬ決意と次世代への強いメッセージが伝わってくるでしょう。

本書で語られるエピソードは、私たちの身近な自然が秘める力強い再生能力を象徴しています。たとえば、かつて乱獲によって絶滅の危機に瀕していたアホウドリが、伊豆諸島の鳥島へと再び姿を見せるようになった経緯は、涙なしには読めない感動的な再興の物語といえます。また、高度経済成長期に汚れきっていた多摩川の水質が劇的に改善し、今や子供たちが水遊びを楽しめるまでになった姿は、人々の努力が実を結んだ証拠ではないでしょうか。

さらに、1980年代に林道計画を巡って激しい反対運動が展開された白神山地のブナ原生林についても詳しく触れられています。開発を食い止め、世界遺産への道筋をつけたこの地は、自然保護の象徴として今もなお輝きを放っているのです。SNS上では「かつての絶望的な状況を知る世代にとって、今の再生した姿は奇跡のように感じる」といった声や、「環境問題は終わったわけではなく、常に新しいステージにあるのだと実感した」という深い共感の声が広がっています。

しかし、石氏は「自然が戻ればすべて解決」という安易な楽観論に警鐘を鳴らしています。例えば、保護の結果として増えすぎてしまった野生動物が田畑を荒らす「獣害」の問題は、私たちに新しい課題を突きつけているのです。ここで重要なキーワードとなるのが「共生」です。これは単に生き物を保護するだけでなく、人間社会と野生生物が互いに適切な距離を保ちながら持続可能な関係を築くことを指しており、現代社会が向き合うべき大きなテーマといえます。

都市環境の再生モデルとして注目されているのが、かつて深刻な大気汚染に苦しんだ川崎市です。「川崎公害病」の舞台となったこの街は、被害者の方々が裁判で勝訴したことを転換点として、環境と経済が調和する魅力的な都市へと変貌を遂げました。かつての煤煙なびく工場跡地には、今や世界屈指の先端技術研究所が立ち並んでいます。公害を克服することが結果として住民の生活質を向上させ、人口増加を招くという好循環を生み出した点は、非常に興味深い教訓を含んでいると言えるでしょう。

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公共事業のあり方と自然保護の境界線

本書の終章では、水俣病訴訟などの歴史を振り返りながら、日本の環境行政のあり方に鋭く切り込んでいます。特に注目すべきは、2019年10月に東日本を襲った台風19号による河川氾濫の被害と、これまでの公共事業の関連性です。堤防の整備を最優先とする従来型の治水対策が、本当に自然環境の保全と両立できているのか、著者は強い疑問を投げかけています。災害対策という大義名分のもとで、失われている自然の価値を今一度見直すべき時期に来ているのです。

私自身の見解としても、単にコンクリートで固めるだけの防災ではなく、自然が持つ遊水機能を活かした「グリーンインフラ」の導入をもっと積極的に議論すべきだと考えます。石氏が提示する「再興」の歴史は、私たちに過去を悔いるだけでなく、より良い未来を選択するための知恵を授けてくれます。環境問題は決して過去の遺物ではなく、今日を生きる私たちの選択そのものです。本書は、混沌とした現代において、私たちが進むべき航路を照らす羅針盤となってくれるはずです。

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