2019年5月、欧州議会選挙の結果が報じられ、EU(欧州連合)に懐疑的な勢力が議席を伸ばしたことが世界的なニュースとなりました。SNS上でも「EUは今後どうなる?」「この選挙ってそんなに大事なの?」といった声が上がりましたが、これはまさにEUの進路を左右する、5年に一度の非常に重要な選挙なのです。その仕組みと権限を易しく解説します。
「欧州議会」とは、EUにおける「立法機関」、つまり法律や予算を決定する役割を持つ議会です。そしてこの選挙は、数あるEUの機関の中で唯一、EU市民が自分たちの代表議員を「直接」投票で選ぶことができる、民主主義の根幹となるイベントです。選挙は5年ごとに行われ、各国で「比例代表制」を採用。議会の総定数751議席が、ドイツやフランスなど28(当時)の各加盟国の人口規模に応じて配分されます。
この選挙の最もユニークな点は、当選後の活動形態でしょう。日本の国会議員が「自民党」や「立憲民主党」といった国内政党として活動するのとは異なり、欧州議会議員は出身国という垣根を超えます。そして、政治的な思想やイデオロギー(例:中道右派、リベラル、環境派、EU懐疑派など)が近い議員同士で「会派」と呼ばれる国際的なグループを結成するのです。議会内での影響力は、この「会派」の規模によって決まります。
欧州議会は単なる「お飾り」の機関ではありません。政策を立案・執行する「欧州委員会」や、各国首脳が集う「欧州理事会」と並ぶ主要機関であり、法案やEU全体の予算案を承認するという強力な権限を持っています。予算案に対しては「拒否権」も行使できるため、議会の意向を無視してEUを運営することはできない仕組みになっています。
そして何より重要なのが、この選挙結果がEUのトップ人事に直結する点です。特に、EUの「行政のトップ(内閣のトップ)」とも言える「欧州委員長」を任命する際、各国首脳は「欧州議会選挙の結果を考慮して」候補者を提案し、最終的に欧州議会(選挙で選ばれた議員たち)の承認を得なければなりません。だからこそ、2019年の選挙でどの「会派」が議席を伸ばしたのかが、今後のEUの方向性を占う上で極めて重要視されたのです。
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