2018年07月に発生した西日本豪雨は、私たちの暮らしの身近にある「ため池」が牙を剥く恐ろしさを改めて突きつけました。農林水産省の調査によれば、広島県や岡山県を含む2府4県で、同年08月末までに計32カ所のため池が決壊したことが判明しています。穏やかな水面が、豪雨によって一転して凶器へと変わる現実に、日本中が衝撃を受けました。
SNS上では、決壊のニュースを受けて「家の裏にある池が急に怖くなった」「どこが危ないのか分からない」といった不安の声が数多く投稿されています。この未曾有の災害を受け、政府は「防災重点ため池」の選定基準を抜本的に見直しました。人々の命を守るための新たな網掛けが、2019年の今、全国規模で急ピッチに進められています。
西日本に集中するリスクと対策の壁
2019年05月末の集計では、防災上の配慮が必要なため池は全国で約6万3700カ所にのぼり、その多くが西日本に集中している実態が浮き彫りとなりました。近畿・中国・四国の15府県だけで約4万カ所を占めており、地域特有の課題となっています。中でも全国最多の9135カ所を抱える兵庫県では、安全確保に向けた対策が喫緊の課題といえるでしょう。
兵庫県は2023年度末までに、特に危険性の高いいくつかの地点で、漏水を防ぐ補強や耐震化工事に着手する計画を立てています。しかし、現場からは「1カ所の工事に2年から3年を要することもあり、全ての整備には膨大な時間が必要」という苦悩の声も聞こえてきます。私は、インフラ整備を待つだけでなく、ソフト面での避難意識の向上が不可欠だと考えます。
命を守るためのハザードマップと最新技術
痛ましい事故が起きた広島県では、2019年03月に「ため池ハザードマップ」を公式ホームページで公開しました。これは、もし池が決壊した場合にどの範囲が浸水するかを可視化した地図です。専門用語である「浸水想定区域」とは、ダムや池が壊れた際に水が流れ込む危険がある場所を指しますが、まずは自分の家がその範囲内かを知ることが生存への第一歩となります。
広島県では2019年から2021年までを集中対策期間と定め、水位計や監視カメラによるIT監視の実証実験もスタートさせています。私は、こうしたデジタル技術の導入こそが、行政の対応の遅れを補う鍵になると確信しています。自治体の情報をこまめにチェックし、万が一の際に「どこへ逃げるか」を家族で話し合っておくことが、今求められているのです。
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