炭素製品のグローバルリーダーとして躍進を続ける東海カーボンが、2019年10月21日に新たな資金調達の計画を発表しました。同社は200億円を下限とする「劣後特約付社債」、いわゆるハイブリッド社債を発行する方針を固めています。この決定は、同社が推し進めるダイナミックな海外展開を支えるための重要な布石といえるでしょう。
今回の資金調達の主な目的は、2019年07月に実施されたドイツの炭素製品メーカー、コベックス社の買収に伴う借入金の返済に充てることです。約1000億円という巨額の買収資金を、より安定した財務構造へと組み替える狙いがあります。投資家の間では「攻めの姿勢を崩さず、守りも固める賢明な判断だ」といった好意的な反響が広がっています。
ハイブリッド社債がもたらす財務上のメリット
「ハイブリッド社債」とは、負債でありながら資本に近い性質を持つ特殊な証券のことです。最大の特徴は、格付け機関から調達額の5割が「資本」として認定される点にあります。これにより、負債比率の急上昇を抑えつつ多額の資金を確保できるため、大型買収後の財務健全性を維持したい企業にとって非常に有効な手段となるのです。
格付投資情報センター(R&I)は、今回の調達額の50%を資本とみなす見通しを示しました。東海カーボンの現在の発行体格付けは「A-(シングルAマイナス)」ですが、この仕組みを活用することで格付けへの悪影響を最小限に留められます。資本効率を意識しつつ、成長のための軍資金を確保する経営陣の手腕には目を見張るものがあります。
今後のスケジュールと戦略的意義
具体的な発行条件や調達額については、市場の動向を慎重に見極めながら2019年12月を目処に決定される予定です。今回の社債は30年という長期の期間設定ですが、発行から5年が経過する2024年12月以降は金利が上昇する仕組みとなっており、企業側が早期に償還(返済)できるオプションも備わっています。
主幹事には野村證券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券の3社が名を連ねており、万全の体制で準備が進められています。私自身の見解としても、製造業の国際競争が激化する中で、こうした高度な財務戦略を駆使して世界シェアを取りに行く姿勢は、日本企業のロールモデルになると確信しています。
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