今、投資家たちの熱い視線が、企業の「内部留保」の使い道に集まっています。成長期待の高い中堅上場企業群「NEXT 1000」を対象に、過去5年間の「総還元額(配当と自社株買いの合計)」を調査したところ、医療機器メーカーの大研医器がトップに立ちました。SNS上でも「こういう会社こそ応援したい」「投資と還元を両立できるのは本物だ」といった評価の声が上がっています。
大研医器の強みは、病院の手術室などで活躍する血液吸引器や薬剤注入器といった分野で、国内トップシェアを誇る独自の開発力です。例えば、主力製品の吸引器「フィットフィックス」(国内シェア75%)は、従来品と異なり「使い捨て」を実現。これにより、洗浄の手間や院内感染のリスクを劇的に軽減し、看護師ら医療従事者の負担を軽くしたと高く評価されています。
また、薬剤を安定的に注入する「シリンジェクター」は、大気圧を利用することで流量を安定させ、患者の負担を減らす工夫が施されています。山田圭一社長は、こうした製品開発力の源泉を「会社の規模が小さいこと」にあると分析します。営業力に頼れないからこそ、医療現場の課題に真摯に向き合い、人目を引く新しい回答を出し続ける必要があったというのです。
しかし、屋台骨であった「フィットフィックス」の特許が切れ、安価な競合品との競争が激化するという試練も迎えています。大研医器はこの事態を見据え、2017年に約21億円を投じて大阪府和泉市に新工場を建設しました。研究開発から生産までを一貫して行い、現在は「MEMS(微小電子機械システム)」技術を応用した新機器の開発など、次なる収益の柱を育てています。
安定した収益は、株主へも積極的に還元されています。2019年3月期までの3年間の「配当性向(純利益のうち配当に回す割合)」は6割を超え、前期には10億円の自社株買いも実施しました。競争激化で2020年3月期の業績見通しは堅調ですが、山田社長は「早期に売上高を10倍規模にする」と強気です。欧州や東南アジアへの海外展開も視野に、「業容を拡大して配当額をさらに上積みしたい」と意気込んでいます。
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