人類がもっとも古くから愛し、追い求めてきた色彩の一つが「インディゴ」ではないでしょうか。2019年11月3日、多くの工芸ファンやファッション愛好家の間で話題を呼んでいるのが、フランス人著者カトリーヌ・ルグラン氏による一冊の書籍です。本書は、紀元前3000年ごろまで遡ると言われるインディゴ染めの歴史を、圧倒的なビジュアルと丹念な取材で紐解く素晴らしい一冊に仕上がっています。
紀元前3000年とは、日本でいえば縄文時代の中期にあたりますが、その頃すでに中東やエジプト、中国ではこの美しい青を抽出する技術が存在していたという事実に驚きを隠せません。インディゴ染めとは、特定の植物に含まれる「インジカン」という成分を酸化させ、不溶性の青い色素として定着させる伝統的な染色技法です。その製法は世界各地で独自に進化を遂げ、人々の暮らしを鮮やかに彩ってきました。
SNSでは「写真が美しすぎて、ページをめくるたびに旅をしている気分になる」「藍染めの奥深さに圧倒された」といった称賛の声が相次いでいます。本書の魅力は、単なる歴史の解説に留まらず、日本の藍染めを含む世界各国の民族や職人、工房を著者自らが歩き、その息遣いをリポートしている点にあります。気候や風土、文化の違いが、インディゴの青に多様な深みと個性的な文様を与えているのでしょう。
植物の栽培から始まり、顔料の抽出、そして染めの作業へと続く工程は、どの地域でも共通していますが、完成する衣装や小物の姿は驚くほど多彩です。現代の私たちはジーンズなどで身近に感じていますが、かつてのインディゴは魔除けやステータスの象徴でもありました。日々の暮らしに欠かせないものとして形を変えながら受け継がれる「青」の重みは、便利さを追求する現代社会において、改めて大切にしたい価値観を提示してくれます。
個人的には、これほどまでに一つの色が人類の文明を縦断していることに、深いロマンを感じずにはいられません。職人たちの手仕事の裏側にある物語を知ることで、私たちが手にする「色」への愛着はさらに深まるはずです。歴史の変遷を辿りながら、世界中の青の美しさに浸ることができる本作品は、手元に置いて何度でも見返したくなる宝物のような一冊といえるでしょう。
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