世界的なエネルギー転換の波が押し寄せる中、アメリカのエネルギー業界がアジア市場へ向けた液化天然ガス、いわゆるLNGの輸出攻勢を一段と強めています。米エネルギー情報局(EIA)が発表した最新のデータによれば、2019年1月1日から2019年8月31日までの輸出量は約2200万トンに達しました。これは前年の同時期と比較して、実に6割近い驚異的な伸びを示しており、アメリカ産ガスの存在感が急速に高まっていることが伺えるでしょう。
この劇的な輸出拡大を支える鍵となるのが、中南米に位置するパナマ運河の機能強化です。パナマ運河庁は、LNG船の通航枠を2019年内にも現在の1日2隻から4隻へと倍増させる方針を打ち出しました。この運河はアメリカ東海岸からアジアへ向かう最短ルートであり、輸送コストを劇的に抑える役割を担っています。航路のボトルネックが解消されることで、より安価で安定したエネルギー供給が実現する可能性が非常に高まっています。
SNS上では「エネルギーの地政学が塗り替わる瞬間だ」といった驚きの声や、「日本の光熱費削減につながるのか」という期待感の入り混じった投稿が目立ちます。一方で、米中貿易摩擦の影響を受け、中国向けの輸出が急減している点に注目する分析も少なくありません。中国という巨大市場の穴を埋めるべく、アメリカは現在、日本やシンガポールといった信頼できるアジアのパートナー諸国へ熱烈な視線を送っているのです。
ここで専門用語を解説しますと、LNGとは天然ガスをマイナス162℃まで冷却して液体にしたもので、体積を600分の1に圧縮できるため大量輸送に適しています。アメリカが輸出を急ぐ背景には、供給量を調整することで国内の需給を引き締め、価格を安定させたいという自国の経済的思惑も存在します。供給過剰による価格暴落を防ぎつつ、海外での収益を最大化しようとする、非常に計算された戦略と言えるでしょう。
私は、この動向が日本のエネルギー安全保障にとって大きな転換点になると確信しています。特定の地域に依存しすぎないエネルギー源の多角化は、国家の安定に直結する重要な課題だからです。アメリカの積極的な姿勢を好機と捉え、官民が連携して有利な条件での調達を進めるべきでしょう。2019年11月08日現在、エネルギーの主導権を巡る争いは、新たな局面へと突入したと言っても過言ではありません。
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