アパレル大手のオンワードホールディングスが、国内のものづくりを再始動させる大きな一歩を踏み出しました。同社は2019年10月31日、佐賀県武雄市において新たな縫製拠点「KASHIYAMA SAGA」の開業式を華やかに執り行っています。約10億円という巨額の投資を投じたこのプロジェクトからは、同社が描く次世代の生産戦略が鮮明に浮かび上がってくるでしょう。
新工場はすでに2019年09月から稼働を開始しており、延べ床面積は約4000平方メートルという広大なスケールを誇ります。ここでは「23区」をはじめとする人気ブランドの婦人向けコートなどが中心に製造され、年間で約10万着もの高品質な衣料品が世に送り出される計画です。139人のスタッフが最先端の設備を使いこなし、日々研鑽を積んでいます。
デジタルと職人技の融合!最新のCAMが支える高品質な服作り
特筆すべきは、デジタル技術を駆使した効率的な生産システムです。本部から送られる正確な採寸データを基に、CAM(コンピューターによる自動裁断機)が複雑な生地を寸分違わず切り出します。CAMとは、設計データをコンピューターで解析し、工作機械を制御して加工を行うシステムのことで、手作業では難しい精密な裁断を短時間で実現する、現代の工場には欠かせない魔法のような装置なのです。
機械が裁断したパーツは、その後20台ものデジタルミシンを操る熟練の職人たちの手によって、一着の美しい服へと仕立て上げられます。最新テクノロジーによる正確性と、人の手が生み出す繊細なニュアンスが組み合わさることで、オンワードらしい上質な価値が創造されるのでしょう。SNS上では「国産の高品質なコートが手に入りやすくなるのは嬉しい」といった期待の声が早くも寄せられています。
今回の国内回帰の背景には、深刻な為替変動リスクへの対策があります。現在、同社の海外生産比率は約8割に達しており、円安が進むと輸入コストが膨らみ利益が圧迫されるという課題を抱えていました。国内に拠点を構えることは、単なる品質向上だけでなく、世界情勢に左右されない安定した経営基盤を築くための、極めて現実的かつ賢明な判断であると私は確信しています。
安価な海外製品が溢れる昨今、あえて日本国内での生産にこだわる姿勢は、ブランドの信頼性を高める最高のアピールになるはずです。地方の雇用創出にも貢献しつつ、日本の誇る「縫製技術」を次世代へ継承しようとするオンワードの挑戦は、多くのアパレルファンを魅了することでしょう。これからの「KASHIYAMA SAGA」が生み出す一着に、大きな期待が寄せられています。
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