製紙業界のガリバー、王子ホールディングスが2019年11月05日に発表した2019年4月から9月期の連結決算は、まさに「攻めの経営」が実を結んだ結果となりました。純利益は前年の同じ時期と比べて8%も伸び、288億円という力強い数字を叩き出しています。
今回の好業績を支えた最大の要因は、私たちが日常的に使う印刷用紙などの価格改定、いわゆる「値上げ」が市場にしっかりと受け入れられたことです。原材料費の高騰という逆風を、巧みな価格戦略で乗り越えた同社の手腕には、業界内外から驚きの声が上がっています。
さらに、ネット通販の爆発的な普及や青果物輸送の需要拡大に伴い、段ボールの販売量が堅調に推移したことも大きな追い風となりました。SNS上では「増税前の買いだめを実感した」という一般消費者の声も多く、人々の生活に密着した製品が利益を押し上げた形です。
一方で、売上高は7602億円とわずかに減少しましたが、これはパルプ(紙の原料となる繊維)の国際相場が冷え込んだことが影響しています。しかし、海外事業の苦戦を国内事業の利益でしっかりとカバーする構図からは、同社の強固な経営基盤が透けて見えるでしょう。
消費増税前の駆け込み需要と次なるグローバル戦略
営業利益についても、前年同期比2%増の555億円を確保しており、ティッシュペーパーなどの家庭用品の値上げも寄与しました。2019年10月の消費増税を前にした駆け込み需要は凄まじく、段ボールの販売は単月で10%以上も跳ね上がったというから驚きです。
この勢いを持続させるべく、同社はブラジルとニュージーランドの拠点へ計200億円規模の大型投資を行うことも明らかにしました。特にブラジルでは、レシートに使われる感熱紙の生産能力を倍増させる計画であり、キャッシュレス化が進む中でも根強い需要を狙い撃ちします。
2020年3月期の通期見通しについては、売上高1兆6000億円、純利益600億円という強気な予想を据え置いています。米中貿易摩擦の影響で半導体関連の特殊紙が伸び悩む懸念はありますが、多様な製品ポートフォリオを持つ同社なら、この目標も射程圏内だと言えるでしょう。
私個人の視点では、単なるコスト削減に頼らず「適正な価格転嫁」を成功させた点に、企業としての真のプライドを感じます。デジタル化の荒波を受けつつも、物理的な物流を支える「紙」の価値を再定義し続ける彼らの姿勢は、多くの日本企業にとって希望の光になるはずです。
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