流行の発信地として知られる東京都渋谷区が、今、世界的なスポーツブランドによる「直営店ラッシュ」に沸いています。2019年に入り、英リーボックや米ナイキ、そして米チャンピオンといった大手メーカーが、日本初となる新業態や限定店舗を次々とオープンさせているのです。かつて若者の街だった渋谷は、大規模な再開発によってオフィスビルが急増し、洗練された「大人の街」へと姿を変えつつあります。さらに2020年の東京五輪を目前に控え、訪日外国人客も急増するなか、各社はブランド価値をさらに高めるための勝負に出ています。
SNSでは「渋谷のナイキがハイテクすぎる」「原宿のチャンピオンでしか買えない限定品が熱い」といった投稿が相次ぎ、早くも感度の高いファンの間で話題となっているようです。単に商品を売る場所から、ブランドの世界観を五感で体験する場所へと進化する、最新の店舗事情に迫ってみましょう。
スマホと連動する近未来体験!ナイキが提案する「おもてなし」の形
2019年11月1日に華々しく開業した複合施設「渋谷スクランブルスクエア」。その2階にオープンしたのが、デジタルとリアルを融合させた新コンセプト店「ナイキ バイ シブヤ スクランブル」です。ここでは「ナイキライブ」と呼ばれる革新的な試みが導入されています。これは、スマートフォンの公式アプリを活用して、来店客一人ひとりに最適化されたサービスを提供する仕組みのことです。店舗面積は176平方メートルとコンパクトですが、その中には驚きのテクノロジーが詰まっています。
特に注目したいのが、自分に最適な靴のサイズを瞬時に計測できる「ナイキフィット」です。専用のボードに立ち、店員がスマホをかざすだけで、足の形状を精密にスキャンしてくれます。靴のモデルごとに異なる「ジャストサイズ」を提案してくれるため、サイズ選びの失敗がなくなります。また、3週間に一度ギフトが受け取れる自動販売機型の「アンロックボックス」や、LINEで店員と気軽に相談できるサービスなど、まさに「おもてなし」と利便性が高次元で融合しています。
世界初やブランド100周年!リーボックとチャンピオンが放つ「独自性」
一方、渋谷駅から原宿方面へ歩いた路面エリアでは、リーボックが新たな挑戦を始めています。2019年9月にオープンした「リーボックストア 渋谷」は、同ブランドが展開するファッションラインとスポーツラインを統合した、世界初の路面店となりました。これまでは客層に合わせて店舗を分けていましたが、30代以上の感度の高い層が増えている渋谷の現状を鑑み、ブランドの全貌を一箇所で体験できる空間へと舵を切ったのです。
さらに、ブランド誕生100周年という記念すべき節目を迎えたチャンピオンも、2019年10月末に「裏原宿」エリアへ特別な店舗を構えました。ここでは、1930年代から50年代の貴重なパテント(特許)取得デザインを現代に蘇らせた「トゥルートゥーアーカイブス」など、ここでしか手に入らない復刻モデルを多数取り揃えています。落ち着いた内装の店内は、ストリート文化を愛する若者だけでなく、本物志向の大人たちをも魅了して止みません。
こうしたブランドの動きについて、編集部としては「単なる物販を超えたファンコミュニティの形成」を感じます。ネット通販が普及した現代だからこそ、店舗でしか味わえない「体験」や「パーソナルな提案」が、ブランドへの愛着を深める鍵になるのでしょう。千代田区を凌ぐ勢いでオフィス供給が進む渋谷区において、ビジネスパーソンや外国人観光客、そしてストリート好きが交差するこの街は、今後ますますスポーツブランドの重要な発信拠点となっていくに違いありません。
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