2020年11月03日に予定されているアメリカ大統領選挙まで、残すところ約1年となりました。現在の米国政治は、景気の動向やトランプ大統領の弾劾調査、さらには民主党内の激しい候補者争いなど、予測困難な変数に満ち溢れています。まるで1年後の天気を今日の気象図から言い当てるような難しさがありますが、今まさに直視すべきは、数々の疑惑に直面してもなお揺るがないトランプ氏の圧倒的な支持基盤です。
世論調査の結果を見ると、民主党支持層からの評価は極めて低い一方で、共和党支持層の8割から9割がトランプ氏を支持し続けています。2019年10月09日までの集計によれば、トランプ氏は就任以来1万3000回を超える不正確な発信を繰り返してきたと報じられていますが、それでも支持者の心は離れません。SNS上でも「メディアが何を言おうと彼は私たちの代弁者だ」という熱狂的な声が散見され、この異様なまでの忠誠心こそが選挙の本質を握っています。
エリート層への反旗と白人労働者の切実な叫び
2019年09月に筆者がオハイオ州などで耳にしたトランプ支持者の声は、非常に切実なものでした。彼らは不法移民への厳格な対応や、オバマ政権下で進んだ「弱者救済策」の是正を強く求めています。自分たちが懸命に働いて納めた税金が、正当な手続きを踏まない人々や労働意欲のない層の救済に充てられることへの強い拒否感があるのです。これは単なる排外主義ではなく、自らの生活が脅かされているという切実な「おびえ」の裏返しと言えるでしょう。
また、中国などの不公正な輸出に対抗する高関税政策も、彼らにとっては「自分たちの仕事を守る盾」として映っています。彼らは長年、リベラルなエリート層から「人種差別主義者」のレッテルを貼られることを恐れ、沈黙を強いられてきました。トランプ氏はそうした人々の怒りを巧みに代弁し、ワシントンの既得権益層や主要メディアを「共通の敵」に設定することで、白人労働者との間に強固な絆を築き上げたのです。
深刻化する分断と揺らぐ国際秩序の行方
現在の米国は、上位1%の富裕層が所得の20%を占めるという、第二次世界大戦時に匹敵するほどの格差社会にあります。この状況下では、どれほど失業率が低くても労働者の痛みは癒えません。これは「高学歴エリート対労働者」という構図の階級闘争であり、この構造が続く限り、今後もトランプ氏のような指導者が登場し続けるでしょう。たとえ政権が変わっても、アメリカが抱える深い分断は一朝一夕には解消されない難問です。
この内憂は、外交面にも暗い影を落としています。2019年10月上旬、トランプ氏は突如としてシリアからの米軍撤収を決定し、同盟国に衝撃を与えました。しかし、長引く戦争に疲弊した米国民の間では、この決定を支持する声も少なくありません。自国の傷を癒やすことを優先する「内向き」な姿勢は、世界の警察官としての体力を奪いつつあります。私たちは、こうした米国内の激しい怒りと分断が、世界秩序を根本から変えようとしている現実を直視しなければなりません。
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