マルクスも憧れた「自由の国」アメリカの変貌?2020年大統領選を前に考える分断の正体

共産主義の父として知られ、「資本論」を著したカール・マルクスが、かつてアメリカへの移住を真剣に夢見ていたという事実はあまり知られていないかもしれません。1845年に彼は、出身地であるプロイセンの国籍を捨て、新天地テキサスを目指そうとしました。当時のアメリカはヨーロッパからの移民を積極的に受け入れており、抑圧された環境にいた彼にとって、そこはまさに希望の光が差し込む「自由の天地」に見えたのでしょう。

貴堂嘉之氏の著作「南北戦争の時代」を紐解くと、当時の政治状況がマルクスを惹きつけた理由が見えてきます。結成間もない共和党は「自由な土地、自由な労働、自由な人間」という高潔なスローガンを掲げ、奴隷制度の撤廃に立ち向かっていました。マルクスはこの理念の中に、自らが提唱する労働者階級の解放という理想の姿を重ね合わせたのです。彼はリンカーン大統領の再選時、欧州から熱烈な祝辞を送るほど、アメリカの変革に興奮していました。

SNS上では「マルクスが共和党を支持していたなんて意外すぎる」「当時のアメリカがいかに先進的だったかがわかる」といった驚きの声が上がっています。かつてのアメリカは、思想の壁を越えて世界中の知性を魅了するほどの、気高い精神的支柱を持っていたといえるでしょう。しかし、それから170年余りが経過した現代、私たちが目にするアメリカの姿は、マルクスが夢想した理想郷とは随分とかけ離れたものになっています。

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2020年11月の大統領選を控えた「孤立」と「分断」の影

2019年11月03日現在、世界中の視線はちょうど1年後に控えたアメリカ大統領選挙に注がれています。最大の関心事は、ドナルド・トランプ大統領が再選を果たすかどうかに尽きるでしょう。就任以来、彼は自身の就任式の動員数を巡ってメディアを攻撃し、メキシコ国境への壁建設を強行しようとするなど、既存の政治の常識を次々と塗り替えてきました。その破天荒な振る舞いに、私たちはいつの間にか麻痺してしまっています。

トランプ政権は、気候変動対策の国際枠組みであるパリ協定からの離脱を示唆し、中国との貿易戦争を激化させるなど、国際社会に混乱を招いています。ここには、かつてのリンカーンのような、気高い理念で世界を導こうとするリーダーの姿は見当たりません。むしろ、自国第一主義を掲げる彼のスタイルは、世界各地で似たような強権的な指導者を生む呼び水となってしまいました。この現状に対し、ネット上では将来への不安を訴える意見が目立ちます。

トランプ大統領を熱狂的に支持する層は、現在の政治状況を「高学歴エリートと白人労働者による階級闘争」であると捉えているようです。彼らにとって、既存の秩序を破壊するトランプ氏の行動は、一種の「革命」の途上にあるのでしょう。しかし、その先に待ち受けているのは、世界を徘徊する「孤立」と「分断」という名の幽霊ではないでしょうか。編集者として、私たちが今一度、かつてマルクスが愛した「自由の原点」を問い直すべき時が来ていると感じます。

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