虐待サバイバーの輝きを写す写真展が埼玉で開幕!2019年11月の児童虐待防止推進月間に「独りじゃない」のメッセージを

親からの虐待という過酷な環境を生き抜き、大人になった「虐待サバイバー」たちの姿を捉えた写真展が、2019年11月01日から埼玉県内で始まりました。このプロジェクトを牽引するのは、自らも虐待の経験を持ち、現在もその深刻な後遺症と向き合い続けている田中ハルさん(43歳)です。

「サバイバー」とは、直訳すると「生存者」という意味ですが、福祉や心理の分野では、困難な状況や暴力的な環境を乗り越えて生きる人々を敬意を込めて呼ぶ言葉として使われています。田中さんは、かつて絶望から自らの命を絶つことさえ考えた経験があるからこそ、今まさに苦しんでいる子どもたちへ「あなたは決して孤独ではない」という力強いエールを送っています。

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レンズ越しに映し出される15人の「生き直す」笑顔

会場には、優しく手を差し伸べる男性や、生命力にあふれる大きな口を開けて笑う女性など、15人のサバイバーたちのポートレートが並んでいます。田中さんは約1年という歳月をかけて、20代から50代までの男女15人の撮影を丁寧に進めてきました。2019年11月01日の開幕を前に、彼は展示される写真とそこに添えられたメッセージの一つひとつを、慈しむように最終確認していました。

撮影現場の一つとなった東京都台東区の上野公園では、初対面の相手であっても田中さんの温かな声かけによって、被写体の方々が次第に穏やかな表情を見せていく様子が印象的だったといいます。SNS上では「写真から伝わる生命力に圧倒される」「負の連鎖を断ち切ろうとする勇気に涙が出る」といった感動の声が広がっており、当事者だけでなく多くの市民の関心を集めています。

田中さん自身、母親からの暴力や暴言にさらされて育ち、長らく「自分が悪いのだ」と自らを責め続けてきました。20代で親元を離れた後も精神疾患による入退院を繰り返し、情熱を注いでいた介護士の仕事も断念せざるを得ない状況に追い込まれました。彼が自分の受けた苦しみが「虐待」であったと気づいたのは、皮肉にも40歳を過ぎてからのことだったのです。

「逃げていい」という切実な願いと社会への問いかけ

被写体となった一人、浅間千代さん(35歳)は、かつて「ネグレクト」という言葉が浸透していなかった時代に、育児放棄や暴力の被害に遭いました。彼女が今回の撮影に応じた理由は、今この瞬間も怯えている子どもたちに「とにかく安全な場所へ逃げてほしい」という切実な願いを伝えるためです。

「ネグレクト」とは、保護者が子どもへの食事の提供や洗濯、入浴などの身の回りの世話を放棄したり、病気の治療を受けさせなかったりする「育児放棄」を指します。浅間さんのように、警察に助けを求めても保護まで半年を要したという事実は、日本の児童保護システムが抱える課題を浮き彫りにしています。

2018年から2019年にかけて、目黒区や野田市で幼い命が奪われる悲痛な事件が相次ぎました。田中さんは「事件が起きるたびに繰り返される一過性の議論で終わらせてはいけない」と強く主張しています。私は編集者として、この言葉の重みを噛み締めるべきだと考えます。親権という壁に阻まれ、子どものSOSが届かない社会構造を今こそ変えていかなければなりません。

この写真展は2019年11月01日から04日までさいたま市で、続いて11月08日から10日までは川口市で開催されます。サバイバーたちが「自分の人生を生き直す」姿は、虐待という問題を社会全体で考えるための大きなきっかけとなるでしょう。入場は無料ですので、ぜひ彼らの「声」を直接受け取ってみてください。

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