日本の産業界を根底から支える化学大手の業績に、かつてないほどの激しい逆風が吹き荒れています。2019年11月6日に出そろった国内大手6社の2019年4月1日から2019年9月30日までの連結決算は、私たちが想像していた以上に厳しい現実を突きつける結果となりました。
驚くべきことに、業界の雄である信越化学工業を唯一の例外として、残る主要5社がいずれも2020年3月31日に終了する通期の純利益予想を下方修正したのです。これは、企業の稼ぐ力が期初に想定していた水準に届かないことを公に認めたものであり、市場には大きな動揺が広がっているといえるでしょう。
SNS上でも「景気の先行指標である化学がこれほど悪いとは」「製造業全体の冷え込みが一段と鮮明になった」といった不安の声が目立っています。多くの投資家やビジネスマンが、今回の決算内容を日本経済全体の減速を告げる不穏なサインとして重く受け止めている様子がひしひしと伝わってきます。
世界経済の二大巨頭による衝突が招いた需要の蒸発
これほどまでに業績が悪化した最大の要因は、激化の一途をたどる米中貿易戦争と、それに伴う中国の景気後退に他なりません。世界中のあらゆる製品の原材料となる石油化学製品は、経済の血液とも呼ばれますが、中国での消費が落ち込んだことで、その需要が目に見えて停滞してしまいました。
特に深刻なのが、これまで収益の柱であった自動車産業や半導体分野向け部材の不振です。ここでいう「部材」とは、スマートフォンや電気自動車の部品、あるいは電子回路の基盤に使用される高度な機能を持つ素材のことですが、最終製品の売れ行きが鈍ったことで、川上に位置する化学メーカーが真っ先にその煽りを受けた形です。
結果として、2019年4月1日から2019年9月30日の半年間において、5社が前年の同じ時期と比べて最終的な利益を減らす「最終減益」に陥りました。個人的な見解を述べれば、これは単なる一時的な調整局面ではなく、世界的なサプライチェーンの再編が迫られている歴史的な転換点であると感じざるを得ません。
各企業は、バルク品と呼ばれる汎用性の高い製品から、より独自性の強い高付加価値製品へのシフトを急ぐ必要があります。外部環境の変化に左右されにくい強固な事業構造をいかに構築できるかが、これからの化学メーカーが生き残るための絶対条件となっていくことは間違いありません。
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