2020年夏の東京五輪・パラリンピック開催を目前に控え、野球競技のメイン会場となる横浜スタジアムがいよいよ新たな姿を現そうとしています。2020年2月の完成を目指して進められている大規模な改修工事により、観客席数は従来から約2割も増加し、3万5000席という圧倒的なスケールへと生まれ変わるのです。この壮大なプロジェクトの先頭に立つのが、横浜DeNAベイスターズのオーナーであり、ディー・エヌ・エー(DeNA)の会長を務める南場智子さんです。
南場さんは「横浜という街の魅力を世界中に発信したい」と、並々ならぬ決意を語っています。SNS上でも今回の増席に対して「チケットが取れやすくなるのは嬉しい」「新しくなるハマスタで早く応援したい」といった期待の声が数多く寄せられており、ファンの熱気は高まるばかりです。単なる球場の整備に留まらず、プロ野球を通じた集客力の向上と、横浜という都市ブランドの強化を同時に狙う南場さんの戦略には、経営者としての鋭い視点が光っています。
ネットの世界から「顔が見える」喜びへ
DeNAがベイスターズを買収し、プロ野球界に参入したのは2011年のことでした。当時、本業であるインターネット事業は急成長を遂げていましたが、南場さんの心にはある思いが芽生えていたそうです。それは、画面越しではなかなか実感しにくい「利用者の笑顔」を社員に直接感じてほしいという願いでした。野球というエンターテインメントを通じて、自分たちの仕事がどれほど人を喜ばせるのかを肌で感じること、それが組織の成長に不可欠だと彼女は確信したのでしょう。
かつては空席が目立っていた横浜スタジアムですが、南場さんの掲げた「地域密着」の姿勢がファンの心を動かしました。選手、ファン、そして地域住民が一体となる仕掛けを次々と打ち出した結果、スタジアムはチームカラーの青いユニホームで埋め尽くされるようになったのです。2019年には過去最高となる228万人の観客動員を記録しており、その手腕は「スポーツビジネスの成功モデル」として多くの専門家からも高く評価されています。
テクノロジーを越えた「ボールパーク構想」の真髄
南場さんの視線は、球場の外側にも向けられています。2020年にはスタジアムに隣接する横浜市役所の移転が予定されており、その跡地開発をDeNAが三井不動産などと共に担うことが決定しました。ここで鍵となるのが、球場を中心として街全体を活性化させる「ボールパーク化構想」です。これは単に試合を観る場所を作るのではなく、試合がない日でも人々が集い、楽しめるエンターテインメント空間を都市の中に構築するという画期的な試みと言えます。
「テクノロジーはあくまで脇役」と断言する南場さんの言葉には、デジタル領域を極めた経営者だからこその重みがあります。AIや5Gといった最新技術が進化しても、最終的に人の心を動かすのは「どれだけ心から楽しめる体験を作れるか」というアナログな感動に他なりません。私自身、この考え方には強く共感します。どれほど便利な世の中になっても、スタジアムで沸き起こる大歓声や、現地でしか味わえない興奮こそが、私たちの生活に真の豊かさを与えてくれるのではないでしょうか。
2019年のシーズン、ベイスターズは惜しくもリーグ2位という結果に終わりました。しかし、南場さんが描くシナリオの先には、新しくなった横浜スタジアムで日本シリーズを開催し、頂点を掴み取るという最高の瞬間が待っています。五輪という世界的な祭典を経て、横浜はさらに魅力的な街へと進化を遂げるでしょう。夢を現実に変えていく南場智子さんの挑戦は、これからも横浜の街に大きな希望と活力を与え続けるに違いありません。
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