2019年4月に新たな在留資格「特定技能」が創設され、日本の介護現場では外国人材の活躍がますます期待されています。そんな中、のぞみグループの代表を務める甘利庸子さんは、単なる労働力の確保に留まらない壮大なビジョンを描いています。それは、日本で学んだ技術を母国へ持ち帰り、現地で指導者として活躍する「人材の還流」を実現することです。2019年7月5日現在、この取り組みはまさに新たな局面を迎えています。
甘利さんが提唱する「人材の還流」とは、日本で経験を積んだ外国人が帰国後にリーダーとなり、そこで育った新たな人材が再び日本を訪れるという循環を指します。一方的に労働力を受け入れるのではなく、日本の優れた介護技術を世界へ輸出することで、国際的な協力体制を築こうとしているのです。こうした前向きな姿勢に対し、SNSでは「介護のイメージがガラリと変わる」「真の国際貢献だ」といった称賛の声が多く寄せられています。
ベトナムに根付かせる「日本型介護」の真髄
2018年度、のぞみグループは国際協力機構(JICA)による、日本の介護技術をベトナムへ導入するための調査事業を受託しました。これが採択されれば、2020年4月1日から政府開発援助(ODA)として本格的に始動する予定です。2018年12月には、すでにベトナム保健省やハノイ医科大学などと覚書を締結しており、現地のニーズに合わせた「NOZOMIメソッド」の展開に向けて着々と準備が進められています。
ここで重要なキーワードとなるのが「自立支援」に基づいた介護です。これは、単に身の回りのお世話をするのではなく、高齢者自身が持っている力を引き出し、自分らしい生活を送れるようサポートする考え方を指します。ベトナムにはまだ公的な介護資格制度が存在しないため、甘利さんは現地政府と協力して認定制度の構築も支援しています。教育から施設整備までをトータルでプロデュースするその情熱には、目を見張るものがあります。
編集部としては、この「制度そのものを作る」というアプローチに深い感銘を受けました。単なるビジネスの枠を超え、現地の社会基盤を整えることは、長期的な信頼関係を築く上で欠かせないプロセスだからです。SNS上でも「ベトナムの若者にとって、日本で学ぶことが大きなキャリアアップになるのは素晴らしい」と、この取り組みがもたらすポジティブな影響に注目が集まっています。
困難をチャンスに変える「まず始める」の精神
地方都市の一主婦だった甘利さんが薬局を開業してから26年、その歩みは決して平坦ではありませんでした。しかし、彼女は「体制が整うのを待つのではなく、まず行動する」ことを信条としています。30代で事業を興し、40代で介護資格を取得した彼女の言葉には、重みがあります。「いつかやろう」ではなく「今やる」という強い意志が、周囲を巻き込み、困難な状況でも助けてくれる人々を惹きつけてきたのでしょう。
また、働くママを支援するための保育所運営にも力を入れています。医師である長女に運営を任せた2カ所の園は、介護現場で働くスタッフの安心感にも繋がっています。人材を確保するためには、その家族まで含めたサポート体制が必要であるという視点は、女性経営者ならではの細やかな配慮と言えるでしょう。こうした多角的な視点こそが、のぞみグループを支える強固な土台となっているのです。
私自身の考えとして、甘利さんの「信じることがすべて」という哲学は、現代のビジネスシーンにおいて最も必要な資質だと感じます。まずは相手を信じ、可能性を信じて一歩を踏み出す。その純粋な「誰かのために」という想いがあるからこそ、国境を越えた大きなプロジェクトが動くのではないでしょうか。彼女が描く、各国にその国のモデルとなる介護施設ができるという夢が、現実となる日はそう遠くないはずです。
コメント