2019年6月24日、国内女子ゴルフツアー「ニチレイレディス」の最終日は、劇的な展開で幕を閉じました。女王・鈴木愛選手が、若手のホープである高橋彩華選手との激しい優勝争いを制し、大会連覇と2週連続優勝という偉業を達成しました。この勝利は、ただの連勝ではなく、彼女の研ぎ澄まされた勝負勘と、強気のパッティングが呼び込んだ逆転劇だと言えるでしょう。
前半、鈴木選手は1番、6番、7番でバーディーを奪い、最終組をともに回る高橋選手と一時的に通算10アンダーで首位に並びました。しかし、ドラマは9番ホールで起こります。鈴木選手が右ラフからの第2打で木の枝にボールを当ててしまい、ボールはさらに木々の奥深くへ。「完璧な当たりだったせいで、ボールが狙いより高く飛び出してしまった」と本人が語る通り、予期せぬアクシデントに見舞われます。このミスから、まさかのダブルボギーを叩いてしまいます。
この瞬間、初優勝を狙う20歳の高橋選手が2打差のリードを得るはずでしたが、土壇場で緊張からか高橋選手もまさかの3パットボギーを喫してしまいます。結果的に、再び2打差がつくことはなく、その差はわずか1打にとどまりました。この9番の「差が縮まらなかった」アクシデントこそが、この日最大の勝負の分かれ目になったと言えるでしょう。
折り返しとなる後半、鈴木選手は攻めの姿勢をさらに強めていきます。特に11番パー3では、高橋選手と比嘉真美子選手が安全策を取り、広々としたグリーン右サイドに乗せたのを確認した上で、果敢にピンをダイレクトに狙い打ちました。彼女は、「後半はピンを狙って二人をヒヤッとさせなければ勝てない」と、攻めこそが勝利への唯一の道だと確信していた様子です。
この攻めの結果、ボールは左のバンカーに外れてしまいましたが、続く3メートルのパーパットを完璧に沈め、小さく右拳を握ってガッツポーズを見せました。一見するとピンチを防いだ「防戦」に見えますが、実は究極の「攻めのパー」であり、このプレーで最終組の雰囲気を完全に自らのものにしたのです。この冷静かつ大胆なプレーに、多くのSNSユーザーからは、「ピンチでの勝負強さが別次元」「女王のメンタルの強さを見た」といった驚きと称賛の声が上がっていました。
勝敗を決する18番パー5では、正規のラウンドと、高橋選手とのプレーオフの両方で2オンに成功しました。「イーグルで勝利を飾りたかった」という言葉からは、内心では勝利を確信していたかのような余裕さえ感じられます。疲労困憊の体で、左足首などの痛みを抱えながらも、この2週連続優勝を達成した喜びはひとしおだったことでしょう。
鈴木選手を常勝の舞台へと押し上げている根底には、海外メジャーで得た大きな自信があります。直近の「全米女子オープン」で4日間戦い抜き22位という成績を残した後、帰国直後の2連勝でした。彼女は、「全米で比嘉さんが優勝争いをしていたのを見て、非常に羨ましかった」と語り、さらに「昨年サロンパス杯で優勝争いをした李晶恩(イ・ジョンウン)選手が優勝したのを見て、私にもチャンスがあるんだと思えた」と、海外での経験がモチベーションと自信につながっていることを明かしています。この強気のプレーと自信こそが、彼女を女子ゴルフ界の頂点に立たせ続けている最大の要因でしょう。
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