2019年10月に猛威を振るった台風19号の影響により、自動車が水没して尊い命が失われるという痛ましい事故が相次ぎました。この深刻な事態を重く見た国土交通省は、2019年11月28日までに、冠水した道路を走行する際の危険性や具体的な対策をまとめ、広く国民へ注意を呼びかけています。
私たちが日常的に利用している自動車は、実は水に対して非常にデリケートな構造をしています。SNS上でも「これくらいなら大丈夫だろうと過信して動けなくなった」という恐怖の体験談や、刻一刻と迫る濁流の映像が拡散されており、改めて水害時における車への危機管理能力が問われていると言えるでしょう。
特に意識すべき危険なラインは、水深が「車両の床面」を超えた時です。車の底にあるマフラーやエンジンの呼吸口である「吸気口」から浸水すると、エンジン内部に水が入り込んで致命的な故障を招き、立ち往生してしまいます。また、車載コンピューターなどの電気系統がショートすることで、パワーウィンドウや自動ドアが一切反応しなくなる恐れも指摘されています。
命を繋ぐための「脱出用ハンマー」と早期避難の心得
もし走行中に浸水し、ドアが水圧で開かなくなってしまったらどうすべきでしょうか。国土交通省は、緊急時に窓ガラスを砕いて車外へ逃げ出せるよう「脱出用ハンマー」を車内に常備することを強く推奨しています。専用の道具がなければ、厚い強化ガラスを素手や足蹴りで破ることは、大人であっても至難の業だからです。
もちろん、最も大切なのは「危険な場所に近づかない」という判断に尽きます。大雨が予想される際には、冠水の恐れがあるアンダーパスや河川敷を避け、早い段階で高台などの安全な場所へ避難を完了させることが不可欠です。車は買い替えが可能ですが、失われた命は二度と戻らないということを、私たちは肝に銘じなければなりません。
編集者の視点から言えば、現代の車はハイテク化が進んでいるからこそ、浸水時の電気的な脆弱性は無視できないリスクです。利便性と引き換えに、有事の際の「アナログな脱出手段」を確保しておくことは、もはやドライバーとしての最低限のマナーと言えるでしょう。まずは車検証入れの近くに、一本のハンマーを忍ばせることから始めてみてはいかがでしょうか。
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