2020年度から導入される「大学入学共通テスト」を巡り、受験生や保護者の間で不安の声が広がっています。特に大きな議論を呼んでいるのが、国語と数学に新しく導入される記述式問題の採点体制です。これまでのマークシート方式とは異なり、記述式は採点者の主観が入りやすく、公平性の確保が極めて難しいという課題を抱えています。
こうした懸念が渦巻く中、2019年11月12日に開催された閣議後記者会見にて、萩生田光一文部科学相が注目すべき構想を語りました。大臣は採点の質を向上させるための一案として、教育現場の第一線を退いた「退職教員」の力を借りる方針を検討したいと述べたのです。経験豊富なベテランの知見を活かすことで、信頼性を担保しようという狙いが透けて見えます。
インターネット上ではこの発言に対し、「専門知識を持つ元先生なら安心感がある」という肯定的な意見がある一方で、「数十万人規模の答案を短期間で裁ける人数を確保できるのか」といった現実的な運用面を不安視する投稿も目立ちます。SNSでは「#記述式ボイコット」などのハッシュタグが使われるなど、制度そのものへの不信感も依然として根強い状況です。
採点の質をどう担保するのか?揺れる現場の信頼性
現在、記述式問題の採点業務は民間企業へ委託される予定であり、そこには多くのアルバイトスタッフが含まれる可能性が指摘されています。学生などの「臨時雇用者」が合否を左右する重要な採点を行うことに対し、世間からは厳しい視線が注がれてきました。これに対し萩生田氏は、雇用形態だけで能力が低いと決めつけるべきではないと強く主張しています。
文部科学省が検討している「1次採点」の仕組みは、複数の採点者が独立して評価を行い、結果が食い違った場合のみ上位の責任者が確認するという多段構えのシステムです。これにより、個人のミスや偏りを防ぐ「ダブルチェック」の機能が働くと説明されています。専門用語で言えば、評価の客観性を高める「ルーブリック(評価指標)」の徹底が鍵となるでしょう。
しかし、大臣自身も今回の退職教員の活用案については「あくまで私見であり、具体的な作業には着手していない」と前置きしており、実現へのハードルは決して低くありません。個人的には、採点のプロを呼び戻すアイデアは素晴らしいと感じる一方、採点基準が曖昧なままでは、どれほど熟練した教員でも限界があるのではないかと危惧しています。
入試改革は日本の教育の未来を左右する重大な転換点です。2019年11月12日の発言により、採点体制の議論は新たな局面を迎えました。受験生が納得して試験に臨めるよう、政府には「誰が採点するか」という点に加え、「どう公平に評価するか」という根本的なルールの透明化を、スピード感を持って進めてほしいと切に願います。
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