2019年11月14日、日本のIT業界に激震が走りました。Zホールディングス(ヤフー)とLINEの経営統合というニュースは、競合他社にも大きな動揺を与えています。メルカリの幹部が「すべて孫正義氏に買い上げられてしまうのか」と漏らしたというエピソードは、今のネット業界に漂う強い危機感を象徴していると言えるでしょう。SNS上でも「ついに日本版GAFAの誕生か」「囲い込みが加速する」といった期待と不安が入り混じった声が数多く投稿されています。
実は、日本のネット企業にとって海外市場は、これまで何度も跳ね返されてきた「鬼門」でもあります。例えば、国内EC首位の楽天は2016年に東南アジア市場からの撤退を余儀なくされました。また、スマホゲームで一世を風靡したDeNAやグリーも、2017年までに欧米拠点の閉鎖を決定しています。世界を相手にするには、中国系企業などの巨大資本に対抗できるだけの、圧倒的な資金力と戦略が不可欠であるという厳しい現実がそこには横たわっているのです。
タイでの圧倒的勝利とインドネシアでの苦戦
そんな苦境の中で、LINEが驚異的な強さを見せているのがタイ市場です。2019年の調査では、タイの人口の約84%がLINEを利用しており、米フェイスブックのメッセンジャーや中国のウィーチャットを圧倒しています。これは「スーパーアプリ」化の成功例と言えます。スーパーアプリとは、一つのアプリ内で決済や配車、デリバリーなど、生活のあらゆるサービスが完結するプラットフォームのことです。タイでは現地の文化に合わせた独自展開が、市民の心をつかんでいます。
しかし、海外戦略の難しさは進出のタイミングと「現地化」の質に左右されます。2016年に現地法人を設立したインドネシアでは、米国のワッツアップに先行を許し、利用者が激減するという苦い経験を味わいました。自前主義にこだわりすぎず、現地のリーダーに経営を委ねる柔軟さがなければ、勝機を逃してしまうことが浮き彫りになった形です。東南アジアの陣取り合戦は、まさに一分一秒を争うスピード勝負の様相を呈しており、猶予は残されていません。
「ガラパゴス」を脱却し、世界へ届く革新を
今回の統合により、両社はまず日本国内で1億人規模の経済圏を固め、その後にアジア、世界を目指すという戦略を描いています。私は、この統合が単なる「国内勢の合体」に終わってほしくないと強く願います。日本国内だけで最適化され、世界から孤立する「ガラパゴス化」を防ぐには、ソフトバンクグループの投資ネットワークを活用し、海外でも類を見ない革新的なサービスをどれだけ早く生み出せるかが鍵となるはずです。
もし世界で勝てなければ、いずれは日本国内の市場さえも米中の巨大資本に飲み込まれてしまうでしょう。2019年11月21日現在、私たちは日本発のプラットフォームが世界に通用するかどうかの、歴史的な分岐点に立ち会っているのです。ヤフーとLINEが手を組んだ「巨大連合」が、単なる守りの同盟ではなく、世界を驚かせる攻めの姿勢を見せてくれることを、編集部としても、そして一人のユーザーとしても切に期待しています。
コメント