日本の投資シーンを牽引するソフトバンクグループが、新たな資金調達に向けて大きな動きを見せています。2019年11月21日、みずほ銀行をはじめとする国内のメガバンク各行が、同社に対して3000億円規模にものぼる大規模な融資を行う方向で協議に入ったことが明らかになりました。今回の資金需要の背景には、世界的に注目を集めているシェアオフィス大手「ウィーワーク」を運営する米ウィーカンパニーの存在があります。経営難に陥っている同社の再建を支援するため、ソフトバンク側には莫大な資金が必要となっているのです。
ソフトバンクグループは、ウィーカンパニーの立て直しを目的として、総額で63億ドル、日本円にして約6800億円もの資金を投じる可能性があると見られています。その具体的な手法の一つが、最大30億ドルを投じて実施されるTOB(株式公開買い付け)です。これは、不特定多数の株主から市場を通さずに直接株式を買い取る仕組みを指しており、これにより同社への出資比率を一気に引き上げる算段でしょう。さらに、融資枠の設定などで追加の拠出も検討されており、その全容は非常に壮大なスケールとなっています。
同社は単体でも2兆円を超える潤沢な手元資金を保有していますが、常に一定の現金を確保しておくという慎重な財務戦略を掲げています。投資拡大を継続しながらも、不測の事態に備えて安定した財務基盤を維持することは、投資会社としての信頼に直結するからです。そのため、必要な資金のすべてを自前で賄うのではなく、あえて銀行からの借り入れを選択肢に含めているのでしょう。SNS上では「これほどの巨額融資を引き出せるのは孫正義氏のカリスマ性ゆえか」と驚きを隠せない声が多数上がっています。
メガバンクが直面する高収益への期待とリスクのジレンマ
融資を検討する銀行側にとっても、今回の案件は極めて重要な意味を持っています。長引く低金利政策により、資金を貸し出しても利益が得にくい「運用難」に苦しむメガバンクにとって、ソフトバンクグループのような優良かつ巨大な貸付先は、貴重な収益源に他なりません。各行は同社が主導する「ビジョン・ファンド」の出資者でもあり、ビジネスパートナーとしての絆は非常に強固なものがあります。しかし、期待の声がある一方で、一部の金融機関からは将来的なリスクを危惧する慎重な意見も漏れ聞こえています。
懸念の種となっているのは、すでに膨らんでいる貸出残高の多さです。特定の企業グループに対して融資が集中しすぎることは、万が一の際の経営リスクを増大させるため、これ以上の積み増しが可能かどうかを各行は厳しく精査している最中でしょう。編集者としての私の視点では、今回の融資協議は日本の金融界が「ソフトバンク・リスク」をどこまで許容できるかを占う試金石だと感じます。ウィーワークの再建が成功すれば大きな果実を得られますが、失敗すれば銀行界全体を揺るがす事態にもなりかねないからです。
ネット上の反応を見ても「ソフトバンクがこけたら日本経済が危ないのでは」といった不安と、「世界を変える投資にはリスクが付きものだ」という応援する声が入り混じっています。今後、この3000億円の融資が正式に決定されるかどうかは、ウィーワークの再建計画の現実味にかかっていると言えるでしょう。2019年11月21日というこの日は、日本の巨大資本とメガバンクの共存共栄が次なるステージへ向かうのか、それとも警戒を強めるのかを決める重要な分岐点として記憶されるに違いありません。
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