2019年11月22日、日本のビジネス界に激震が走りました。ソフトバンクグループが発表した直近の四半期決算において、最終損益が約7000億円もの巨額赤字に転落したのです。この歴史的な損失の背景には、米国のシェアオフィス大手「ウィーワーク(WeWork)」への投資失敗が深く関わっています。
飛ぶ鳥を落とす勢いだった孫正義氏率いる「ビジョン・ファンド」も、今回の騒動によって大きな痛手を負いました。10兆円規模という空前絶後の資金力で世界中のテック企業を支援してきましたが、その主力投資先が足元をすくわれる形となったのです。SNS上では「投資の神様もついに年貢の納め時か」といった厳しい声が相次いでいます。
テック企業の仮面を剥がされた不動産ビジネスの実態
市場関係者から噴出しているのは、ウィーワークのビジネスモデルに対する根本的な不信感に他なりません。「最先端のテック企業」という触れ込みで莫大な資金を飲み込んできましたが、蓋を開けてみれば「単なる転貸不動産会社ではないか」という冷ややかな評価が定着しつつあります。
ここで言う「テック企業」とは、独自の技術やデータ分析を用いて急成長を遂げる企業を指しますが、ウィーワークの場合はオフィスを借りて貸し出すという伝統的なビジネスの域を出ていなかったようです。ITによる効率化を過大評価しすぎたことが、今回の巨額赤字という現実を招いたと言えるでしょう。
投資家としての私は、孫氏の「熱量」がときに客観的な数字を曇らせてしまったのではないかと危惧しています。ビジョン・ファンドの掲げる壮大な未来像は魅力的ですが、実体以上の期待値を乗せる「バブル的」な投資手法は、今回のような局面では極めて脆いことが証明されました。
今後のソフトバンクグループには、夢を語るだけでなく、冷徹なまでに事業の本質を見抜く目が求められるはずです。世界中の期待を背負った10兆円ファンドが、この逆風を乗り越えて再び輝きを取り戻せるのか、あるいはこれが崩壊の序曲となるのか、私たちは今まさに歴史の転換点に立ち会っているのかもしれません。
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