【ビジョン・ファンドの引力】マレーシア政府系投資会社が出資検討?ソフトバンクが描く巨大IT投資の未来図

2019年5月29日、日本のソフトバンクグループ(SBG)が率いる巨大投資ファンド**「ビジョン・ファンド」**に対し、マレーシアの政府系投資会社カザナ・ナショナルが出資を検討しているというニュースが流れました。複数の関係者が日本経済新聞に明かしたこの事実は、世界の政府系資金(ソブリン・ウェルス・ファンド)が、孫正義会長兼社長が率いるテクノロジーへの大胆な投資戦略に熱い視線を注いでいたことを示しています。

カザナ・ナショナルとSBG側との協議は2019年4月には既に始まっていたようですが、関係者によると、その時点ではまだ「準備段階」であり、最終的な決定には至っていませんでした。別の関係者からは、「カザナは外国のファンドへの投資に非常に慎重な姿勢であるため、議論にはもう少し時間が必要かもしれない」という見解も出ていました。両社およびマレーシア政府の広報担当者は、この件に関するコメントを控えていましたが、水面下で重要な交渉が進んでいることは確実だと考えられます。

実は、この話には伏線があります。マレーシアのマハティール首相(当時)は、2018年後半には既にSBGの孫会長兼社長に対し、カザナ社の役員兼顧問への就任を打診していました。これは孫氏が辞退した経緯がありますが、マレーシア側が孫氏の持つグローバルなテクノロジー分野での知見や、ビジョン・ファンドの成功に強い関心を示していた証拠でしょう。

ビジョン・ファンドは、当時のソフトバンクグループの業績を牽引していました。2019年3月期のSBGの連結純利益は、前の期と比べて36%増の1兆4100億円という驚異的な数字を達成しており、主にこのファンドが生み出す巨額の含み益(資産を売却せずに保有している時点での評価上の利益)が大きく貢献しました。SNS上では、「孫さんの目利き力は世界レベル」「政府系ファンドがソフトバンク頼みになる時代か」といった、ビジョン・ファンドの影響力の大きさに驚く声が多く見受けられました。

コラムニストとしての私の意見ですが、この出資検討は単なる資金提供の話に留まりません。カザナが出資を決めれば、マレーシアはビジョン・ファンドが投資する最先端IT企業のネットワークにアクセスできる可能性が高まります。これは、国全体の経済成長戦略において、テクノロジー分野での知見を外部から取り込むという、極めて戦略的な判断だと言えるでしょう。議論に時間をかけるカザナの慎重さも理解できますが、世界で加速するIT投資の波に乗り遅れないかどうかが、マレーシアの未来を左右すると言っても過言ではないでしょう。

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