東北地方の農業が、力強い歩みを続けています。東北農政局が2020年1月22日に発表したデータによると、2018年の東北における農業産出額は1兆4325億円に達しました。これは前年と比較して2%の増加を記録しており、なんと4年連続で前年の実績を上回る快挙を成し遂げています。日本の食糧基地としての底力を改めて証明する形となりました。
この好調を牽引した主な要因は、私たちの食卓に欠かせない身近な作物の値上がりにあります。特にキュウリやトマトといった野菜類、そして主食であるお米の価格が上昇したことが全体の数字を大きく押し上げました。作物の市場価値が高まることは、地域の産業を維持する上でも非常にポジティブなニュースと言えるでしょう。
ここでいう「農業産出額」とは、農家が生産した農産物の量に、その時々の市場価格を掛け合わせて算出した、いわば農業による総売上高のようなものです。部門別で見てみると、最も規模が大きいのはやはりコメで、前年比3%増の4622億円を誇ります。さらに野菜が9%増の2683億円と猛追しており、東北農業の多様な強みが浮き彫りになりました。
東北6県の中でトップの輝きを放ったのは、3222億円を売り上げた青森県です。特産品であるリンゴの作柄が非常に良く、野菜と果物だけで全体の半分以上の金額を占める大活躍を見せました。これに岩手県の2727億円、山形県の2480億円が続く展開となっており、各県が独自の強みを活かして独自の存在感を発揮しています。
今回の発表に対してSNS上では、「東北の美味しい農産物が高く評価されるのは嬉しい」といった喜びの声が上がっています。その一方で、「スーパーでの野菜の高値には困るけれど、農家さんの応援になるなら納得したい」という、消費者の複雑な心理を覗かせるリアルな意見も散見され、大きな反響を呼びました。
豊作の裏に隠された影と、これからの農業経営への提言
しかし、手放しで喜んでばかりはいられないシビアな現実も突きつけられています。総売上にあたる産出額が増えた一方で、農家の手元に残る利益を示す「生産農業所得」は、11%減の5627億円と4年ぶりにマイナスへ転じました。売上が伸びているにもかかわらず、儲けが減ってしまっているという歪な構造が生まれています。
この厳しい利益減少の原因は、農業を営むためのコストが跳ね上がったことにあります。トラクターなどの農機を動かす軽油をはじめとした光熱動力費や、作物を育てるための肥料価格が上昇しました。これらに加えて、国からのコメの直接支払交付金が廃止されたことも、農家の経営を圧迫する大打撃となっています。
私はこの結果を踏まえ、今こそ国や自治体による「攻めと守りの両輪」の支援が不可欠だと確信しています。いくら売上が増えても、経費に圧迫されて農家の生活が困窮してしまっては、日本の農業に未来はありません。コスト削減のためのスマート農業への投資や、新たな経営支援策を迅速に講じるべきではないでしょうか。
コメント