富士山を仰ぎ、豊かな自然に恵まれた静岡県は、実に1143品目もの農林水産物を世に送り出す全国屈指の食材の宝庫です。これまで減少が続いていた農業産出額ですが、2020年1月10日現在の最新データによると、ここ数年は嬉しいことに上昇傾向へと転じています。生産者の高齢化という深刻な課題を抱えながらも、生産性や付加価値を高める最先端の取り組みが、素晴らしい成果を結び始めているようです。SNS上でも「静岡の野菜やフルーツはおいしいものばかりだから応援したい」と、多くのエールが寄せられています。
県の分析によると、このV字回復の背景には「スマート農業」の導入や土地の集積化、そして作物のブランド化があるといいます。スマート農業とは、ロボット技術やICT(情報通信技術)を活用して超省力化や高品質生産を実現する新しい農業のカタチのことです。これにより、限られた農地から高い価値を生み出すことに成功しています。実際、静岡県の1ヘクタールあたりの土地生産性は全国平均を50万円以上も上回っており、効率的な農業経営が行われていることが分かります。
戦略的絞り込みで魅せる「うまレタ。」の挑戦
しかし、同じく高い生産性を誇る群馬県や長崎県が10年間で総産出額を10%以上伸ばしたのに対し、静岡県は16%減少という苦い過去も経験しました。そこで県は、多岐にわたる品目から強みのある11品を「重点品目」として戦略的に絞り込み、生産体制の強化に乗り出しています。その代表例がレタスです。2013年には県内6つのJAが「静岡県レタス協議会」を結成しました。これは名高いブランド苺に続く快挙であり、2018年からは県産レタスを「うまレタ。」としてブランド化しています。
「甘くてみずみずしく、食感はシャキシャキ」と評されるこのレタスは、ネットでも「名前が可愛いし食べてみたい」と話題を集めています。さらに驚くべきは、県農林技術研究所が開発し2017年から実用化している「収穫時期の予測技術」です。レタスは葉が38枚になった頃が収穫期ですが、苗を植えてからの「一日の平均気温の積算値(日々の平均気温を足し合わせた合計温度)」と葉が開く速度の深い関係を利用し、最適な収穫日をピタリと割り出します。
これによって事前に確実な販売先を確保できるため、需給バランスが安定し、価格の暴落を防ぐことができるのです。小売店側も販売の準備がスムーズに進められるとあって、非常に高い評価を得ています。また、世界農業遺産に登録された「静岡水わさびの伝統栽培」を強みに持つワサビも、日本食ブームの追い風を受けて単価が上昇し、絶好調を維持しています。伝統を守りつつ科学の力を融合させる姿勢こそが、今の静岡農業の強みなのですね。
名産品である高級メロンやお茶が挑む次なる一手
一方で、静岡を代表するブランドであるメロンやお茶は、依然として厳しい戦いを強いられています。メロンの産出額はここ17年ほどでほぼ半減してしまいました。しかし詳細にデータを見ると、栽培面積や生産量が6割近く減少しているのに対し、産出額の落ち込みはそれ以下に留まっています。これは、一玉ずつの付加価値を高める個々の農家の努力が実を結んでいる証拠と言えるでしょう。SNSでも「静岡の温室メロンは特別な日の憧れ」という声が根強くあります。
また、お茶の産出額の急落は、急須で淹れるリーフ茶の需要減と、ペットボトル茶の普及による価格競争が原因です。この現状に対し、単に衰退を憂うのではなく、時代のニーズに合わせた販売戦略の見直しが急務であると考えます。例えば、手軽に高級感を味わえるティーバッグの開発や、海外輸出向けの抹茶ラテ用パウダーなど、現代のライフスタイルに寄り添うアプローチが有効でしょう。静岡が誇る豊かな食文化が、世界へ羽ばたく未来に大いに期待したいところです。
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