2019年11月06日から2019年11月09日にかけて、名古屋市で国内最大級の異業種交流会「メッセナゴヤ2019」が開催されました。4日間で約6万人もの来場者を記録したこの熱気あふれる会場で、ひときわ注目を集めたのが「スマート農業」の特別企画展です。最新のロボット技術やAI(人工知能)を駆使した次世代農業の姿は、多くの参加者の目を釘付けにしました。
SNS上では、実際にデモンストレーションを行う農作業ロボットの動画が拡散され、「農業がここまで進化しているのか」「かっこいい」といった驚きの声が上がっています。これまでの「重労働で大変」という農業のイメージを、テクノロジーの力が鮮やかに塗り替えようとしているのです。まさに、中部地方のモノづくり精神が農業というフィールドで新たな花を咲かせようとしています。
異業種連携で加速する「強い農業」への挑戦
愛知県は2017年の農業産出額で全国7位を誇る農業県であり、特に高度な技術を要するハウス栽培において確かな実績を持っています。この強みをさらに盤石にするため、地元の老舗企業が驚きのタッグを組みました。豊橋市の農業資材大手・大仙は、自動車部品メーカーのデンソーと合弁事業を展開し、最新の環境管理システムを備えた次世代型ハウスを市場に投入しています。
ここで活用されているのは、なんと「カーエアコン」の技術です。車内の狭い空間を常に快適に保つ精密な温度・湿度管理のノウハウを、広大なビニールハウスの環境制御に応用したのです。製造業で培われたハイテク技術が、作物の成長を最適化する頼もしい存在となっています。こうした「スマート農業」、つまり情報通信技術を活用した効率的な農業への転換は、もはや避けては通れない潮流でしょう。
また、三重県津市の浅井農園も、デンソーと協力して世界初となるトマト収穫ロボットの実用化に突き進んでいます。30代という若さで組織を率いる浅井雄一郎社長は、異業種との連携を通じて「世界に通用する農業カンパニー」を目指すと熱く語ります。彼がメッセナゴヤのセミナーで見せた情熱的なプレゼンテーションは、次世代農業が秘める無限の可能性を強く印象づけました。
驚異の生産性と未来を担う人材育成
三重県松阪市では、辻製油や三井物産との共同運営により、国内平均の3倍から4倍という圧倒的な生産性を実現する農場が稼働しています。さらに2019年には、太陽光とLED(発光ダイオード)を併用する国内最大級の巨大ハウスを新設しました。これにより、日照時間が不足しがちな冬場でも安定した収穫が可能となり、さらなる収益の向上が期待されています。
こうした技術革新を支えるのは「人」に他なりません。岐阜県では2017年度から5年計画で、2000人の新規就農者を育成する大規模なプロジェクトを推進中です。スマート農業の普及とセットにすることで、若者が魅力を感じ、しっかりと稼げる産地づくりを急いでいます。最新技術は、単なる効率化の道具ではなく、次世代の担い手を呼び込む鍵となるはずです。
三重県でも2018年に「みえ農業版MBA養成塾」を開講し、経営センス溢れる起業家の育成に力を注いでいます。MBAとは本来、経営学修士という高度な学位を指しますが、この塾では実践的なインターンシップを通じて農業を「ビジネス」として成功させるプロを育てます。産出額で全国30位前後に甘んじている岐阜・三重両県ですが、この攻めの姿勢は将来の大きな飛躍を予感させます。
私は、こうした企業の垣根を越えた挑戦こそが、日本の食の未来を救うと信じています。若き経営者がITやロボットを武器に、伝統的な農業を「稼げる産業」へとアップデートしていく姿は、非常に心強く感じられます。中部地方の技術力が、土を耕し、命を育む現場に魔法をかける。そんなワクワクするような変革が、今まさに私たちの目の前で始まっているのです。
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