米国消費の明暗を分ける「悪の指数」とは?年末商戦を前に百貨店メーシーズ下方修正で揺れる市場の行方

2019年11月21日のニューヨーク株式市場は、複雑な心境を抱えた投資家たちの迷いが表れる展開となりました。ダウ工業株30種平均は前日比54ドル安の2万7766ドルで取引を終えています。市場を冷え込ませたのは、老舗百貨店メーシーズが発表した厳しい決算内容でした。年末商戦という書き入れ時を目前に控え、大手小売りの失速は景気の先行きに不透明感を与えています。

メーシーズが2019年11月21日に発表した2019年8月から10月期の決算は、売上高が前年同期比で4%減少する51億7300万ドルに沈みました。これを受け、2020年1月期通期の利益見通しも下方修正されています。SNS上では「百貨店モデルの限界か」「ネット通販との競争が激しすぎる」といった、伝統的な小売業の苦境を指摘する声が相次ぎ、同社の株価は当日2%の下げを記録しました。

苦境に立たされているのはメーシーズだけではありません。ホームセンター大手のホーム・デポや百貨店のコールズも相次いで下方修正を発表しており、消費者の足が特定の業態から遠のいている様子が伺えます。しかし興味深いことに、米国の個人消費がすべて冷え込んでいるわけではないのです。業界内では、勝ち組と負け組がはっきりと分かれる「二極化」がかつてないほど鮮明になっています。

圧倒的な強さを見せているのが、小売最大手のウォルマートやディスカウントストアのターゲットです。ウォルマートの8月から10月期決算は純利益が92%増という驚異的な数字を叩き出しました。株価の動きを見ても、メーシーズが年初から半減しているのに対し、ターゲットは93%高と暴騰しています。消費者は「安さ」や「利便性」を徹底的に追求する傾向を強めていると言えるでしょう。

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不吉な予兆?消費の先行きを占う「バイス指数」の正体

今後の経済を占う上で、今市場関係者が密かに注目している不穏な指標があります。それが「Vice(バイス)指数」、別名「悪の指数」です。「Vice」とは英語で「不道徳な習慣」を指します。具体的には、お酒やギャンブル、宝飾品といった、生活に必須ではない「贅沢品や娯楽」への支出動向を数値化したものです。これらは余剰資金で賄われるため、消費者の財布の余裕をダイレクトに反映します。

この「悪の指数」が2019年9月、1996年2月以来となる約23年半ぶりの低水準を記録したことが判明しました。これは、消費者がギャンブルなどに回すお金を使い果たし、限界まで消費を膨らませている可能性を示唆しています。この指標は約4カ月先の景気を先取りするとされており、好調に見える個人消費が「息切れ」を起こす前兆ではないかと、専門家の間では警戒感が高まっているのです。

個人的な視点に立てば、この二極化と「悪の指数」の低下は、米国の格差拡大と消費の「質の変化」を象徴していると感じます。人々は生活防衛のためにディスカウント店へ走り、かつての贅沢であった百貨店での買い物や遊びの資金を削り始めています。好景気の数字の裏側に潜む「消費者の疲弊」を見逃せば、思わぬ市場の急落に直面することになるかもしれません。

来週2019年11月29日には、年間最大のセール期間である「ブラックフライデー」が幕を開けます。ウェルズ・ファーゴ証券などは前年比5%増の売上を見込むなど、楽観的な予測も根強く残っています。伝統的な小売業の衰退が単なる産業構造の変化なのか、それとも「悪の指数」が警告する消費全体の崩壊の始まりなのか。今年の冬は、例年以上に慎重な見極めが必要になりそうです。

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