2019年11月21日の東京株式市場では、日経平均株価が一時400円を超える大幅な値下がりを記録しました。これまで市場を牽引してきた「米中関係の改善」という楽観的な見通しがいかに脆いものであるかが、改めて浮き彫りになった形です。SNS上でも「やはり香港問題が火種になったか」「上げ足が速かった分、調整が怖い」といった不安の声が数多く上がっています。
こうした情勢の中、投資家の間では慎重な姿勢が強まってきました。特に香港人権法案を巡る米中両国の対立激化は、ポジティブな材料に慣れきった市場にとって冷や水を浴びせられたような衝撃を与えています。専門家によれば、株高局面では少しのネガティブなニュースでも動揺が広がりやすくなっており、現在は「何かの拍子でパニックが起きる」ことへの警戒心がじわりと高まっている状況です。
急落の兆しを察知する「ダブル・ブレイン」の躍進
相場の不透明感が増す中で、異彩を放つ人気を誇っているのが野村アセットマネジメントの投資信託「ダブル・ブレイン」です。2018年11月の運用開始以来、13ヶ月連続で資金が流れ込み続けています。特に日経平均が上昇基調にあった2019年8月以降は、毎月の流入額が100億円を超える大台を突破しました。多くの投信から資金が逃げ出している中で、この数字は驚異的と言えるでしょう。
このファンドの最大の武器は、独自の「早期警戒機能」にあります。運用を担う英マン・グループは、24時間体制で市場を監視し、わずか10分の間に株式と債券が同時に下落する事態を「相場急落の予兆」として捉えます。通常はレバレッジ(てこの原理)を用いて手元資金の3倍の規模で運用しますが、危険信号が灯ると即座に資産を現金化して嵐が過ぎるのを待つのです。
VIX指数の不気味な積み上がりと賢い防衛策
現在、市場が最も恐れているのが「VIX指数」に関連する投機的な動きです。これは投資家が将来の相場変動をどう予想しているかを示す指標で、別名「恐怖指数」とも呼ばれます。2019年11月12日時点のデータでは、この指数の先物売り残高が2018年の「VIXショック」時の2倍以上に膨れ上がっています。これは、わずかなショックが引き金となり、機械的な売りが連鎖するリスクを孕んでいます。
また、機関投資家の間では「転換社債(CB)裁定取引」への関心も高まっています。これは、株式に転換できる権利を持つ社債を買い、同時に株式を売ることで、株価の急変時に発生する価格差から利益を得る手法です。私個人としては、こうした「守りの戦略」への注目は極めて健全な反応だと考えます。強気な時こそ、不測の事態に備えて資産の避難先を確保しておくことが、長期的な勝利への近道だからです。
2019年の年末に向けて株高を期待する声は依然として根強いものがありますが、それはあくまで「米中合意」という不確かな前提の上に成り立っています。投資の世界に「絶対」はありません。2019年11月22日現在の状況を鑑みると、高揚感に流されることなく、リスク管理に長けたファンドや戦略をポートフォリオに組み込むことが、賢明な個人投資家に求められる姿勢ではないでしょうか。
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