東京五輪の建設ラッシュが一段落?セメント販売量減少から読み解く建設業界の未来とSNSのリアルな声

日本のインフラを足元から支える素材業界に、今ちょっとした変化の波が押し寄せています。セメント協会が発表した最新のデータによると、2019年11月のセメント国内販売量は373万7667トンを記録しました。これは前年の同じ時期と比較すると5.7%の減少となっており、市場の動きが緩やかになっていることが伺えます。主要な建材であるセメントの需要は、まさに景気の熱量を測るバロメーターと言えるでしょう。

今回の落ち込みについて、大きな要因として挙げられているのが首都圏での建設ラッシュの落ち着きです。実は、全国のセメント需要の約3割という圧倒的なシェアを占めるのが関東地方になります。2020年に開催を控える東京オリンピック・パラリンピックに向けた大規模な関連施設の工事がひとまずピークを越えたことが、出荷量の減少にダイレクトに影響した模様です。ビッグイベントの足音が近づく中で、建設現場の風景も移り変わっています。

こうした動きは単月だけにとどまらず、2019年1月から2019年11月までの累計販売量を見ても3786万トンと、前年同期比で1.5%のマイナスを記録しました。このペースで推移すると、2019年通年での実績は3年ぶりに前年を下回る可能性が極めて濃厚となっています。これまでの右肩上がりの需要が、いよいよ踊り場を迎えたと言っても過言ではありません。

ネット上のSNSでもこのニュースは注目を集めており、多くの意見が飛び交っています。「オリンピックが終わった後の建設業界はどうなるのだろう」といった将来を不安視する声がある一方で、「今までが忙しすぎたから、これでようやく現場の深刻な人手不足や過密スケジュールが落ち着くのでは」と前向きに捉える書き込みも見られました。市場の縮小を懸念しつつも、働き方改革の観点から好意的に受け止めるユーザーも多い印象です。

ここで少し専門用語の解説をしておきましょう。今回注目されている「セメント」とは、水と混ぜることで硬化する粉末状の結合材のことです。これに砂や砂利を混ぜ合わせて私たちがよく知る「コンクリート」が作られます。道路やビル、堤防などあらゆる建造物の基礎となるため、経済活動や都市開発の勢いを測る指標として非常に重視されている素材なのです。

さらに、セメント以外の主要な建設・工業用素材のデータに目を向けてみると、全体的に調達や生産の動きが縮小傾向にあることが分かります。例えば、ビルの骨組みなどに使われる主要な鋼材である「H形鋼」の2019年11月の市中在庫は17万9900トンと、前月から1.4%減少しました。建物の壁や床のインフラ材となる「国産針葉樹合板」の在庫も11万9021立方メートルと、前月比で7.5%のマイナスを記録しています。

加えて、梱包や印刷に使われる「紙・板紙」の2019年11月の国内出荷量は202万1000トンと前年同月比で5.4%減少しました。また、電子部品や自動車パーツに加工される「伸銅品」の生産量も6万2011トンに留まり、前年同月比で13.5%の大幅なマイナスとなっています。このように、建設資材だけでなく製造業全般に関わる素材の動きが全体的に停滞しているのが現状です。

編集部としての私見ですが、今回のセメント販売量の減少は決して悲観するような一過性の不況ではないと考えています。東京五輪という巨大な特需が終われば、一時的に数字が落ち込むのは当然のサイクルだからです。むしろこれからは、老朽化した首都高速道路の改修や全国の防災インフラ整備といった、都市を維持・守るための「質の高い需要」へとシフトしていく絶好の転換期になるのではないでしょうか。

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