2020年に開催を控える東京オリンピック・パラリンピックに向けて、準備は着々と進んでいます。国土交通省は2019年08月26日、大会期間中に懸念される深刻な水不足を回避するための包括的な対策案を公表しました。世界中からアスリートや観光客が集まる祭典において、安定した水の供給は都市の生命線とも言える極めて重要な課題です。国はダムの運用ルールを柔軟に変更し、万全の体制で夏の本番に臨む構えを見せています。
具体的な戦略として、利根川や荒川、多摩川、そして相模川といった主要な水系において、大会前からダムの貯水量を通常よりも高い水準で維持する方針が示されました。本来、日本のダムには「予備放流」という仕組みがあります。これは台風などの大雨による洪水被害を防ぐため、あらかじめダムの水位を下げて空き容量を確保しておく専門的な運用ですが、大会期間中はあえてこの容量を圧縮し、より多くの水を貯め込むことで渇水のリスクに備える計画です。
さらに、インフラの維持管理においても徹底した配慮がなされます。本来予定されていた水路や施設の修繕工事を大会終了後まで先送りすることで、工事に伴う水の放出を最小限に抑えることが決まりました。また、異なる河川を繋ぐネットワークを活用して水を互いに融通し合うなど、ハード・ソフト両面での対策が講じられます。こうした徹底した準備状況が報じられると、SNSでは「水不足で競技が中断されるのは避けたい」「技術の進歩を感じる」といった期待の声が寄せられています。
万が一、想定を超える異常な日照りが続き、状況が深刻化した際のアクシデントプランも準備されています。国は各都県と連携して市民へ節水を呼びかけるほか、どうしても飲み水が足りなくなる緊急時には、東京電力へ発電用の水を飲料水として提供するよう要請する仕組みを整えました。発電用ダムの水を生活用水に転換するという決断は、まさに大会の成功と市民生活を守るための最終手段と言えるでしょう。こうした重層的なバックアップ体制には心強さを感じます。
1964年の記憶を超えて!5倍に増えた貯水能力が支える現代の東京
振り返れば、1964年に開催された前回の東京オリンピックでは、開催前から深刻な水不足に見舞われ「東京砂漠」という言葉が生まれるほどでした。当時は昼間の断水が余儀なくされるなど、大会運営も市民生活も窮地に立たされた歴史があります。しかし、現代の状況は当時とは劇的に異なります。1964年当時は東京都の水源が主に多摩川に限られていましたが、現在は利根川や荒川も主要な水源として組み込まれ、供給体制は飛躍的に多様化しました。
さらに、2019年度中には巨大な「八ツ場ダム」の完成が予定されており、これによって首都圏全体のダム容量は1964年当時の約5倍という圧倒的な規模にまで膨らむ見込みです。インフラの充実は、私たちが安心してスポーツの祭典を楽しめる土台となります。個人的には、これだけの備えがあれば過度な心配は不要だと感じますが、同時に私たち一人ひとりが、水という限られた資源を大切にする意識を改めて持つことも、大会を成功に導く大切な要素ではないでしょうか。
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