日本の行政システムがいよいよ大きな転換期を迎えようとしています。政府は各省庁がバラバラに運用してきたITシステムを、2020年秋から順次「クラウド」へと全面移行させる方針を固めました。これまで自前でサーバーを抱え込むことに固執してきた「霞が関」が、ついに重い腰を上げたのです。しかし、この動きは米国などのIT先進国から見れば、実に10年以上の遅れをとっているのが現実です。
「クラウド」とは、インターネット越しにコンピューターの機能や保管場所を利用する仕組みを指します。自前で巨大な機材を管理する手間が省け、使いたい分だけ契約できるため、コスト削減や最新技術の導入がスムーズになるメリットがあります。内閣官房は、今後4年から8年をかけて全省庁のシステムを切り替える計画ですが、現場からは「準備が整わない」といった抵抗の声も漏れ聞こえており、前途多難なスタートとなりそうです。
びこる「クラウド危ない教」の正体と、消えた年金問題の教訓
なぜ日本の行政デジタル化はここまで遅れてしまったのでしょうか。推進派の官僚によれば、ITに疎い幹部層の間に「ネットを介してデータを外に置くのは危険だ」という根強い不信感、いわば「クラウド危ない教」が蔓延していたといいます。しかし、米国のCIA(中央情報局)や国防総省といった機密情報の塊のような機関が、すでに積極的にクラウドを採用している事実を見れば、その懸念はもはや時代遅れと言わざるを得ません。
かつて旧社会保険庁は、年間800億円もの巨費を投じながら「消えた年金問題」を引き起こしました。非効率で巨大な自前システムを維持し続ける今の霞が関は、古い日本の象徴とも揶揄されています。政府の試算では、クラウド化によって年間4000億円にのぼるIT運営コストを3割、金額にして約1000億円も削減できる見込みです。SNSでは「もっと早くやるべきだった」「血税の無駄遣いを即刻止めてほしい」といった厳しい反響が相次いでいます。
「日の丸クラウド」の逆襲なるか?米巨大IT企業との主導権争い
政府は2019年12月にも、導入の指針となるガイドラインを策定する予定です。そこには「データセンターは国内に置く」といった条件が盛り込まれる見通しですが、実際の受注を巡っては熾烈な争いが予想されます。現在はアマゾン(AWS)やマイクロソフトといった米国の巨大IT企業が圧倒的な実績を誇っています。一方で、危機管理の観点から全てを外国企業に委ねることへの不安もあり、日本企業の奮起を期待する声も根強くあります。
私個人の意見としては、このクラウド化を単なる「経費削減」で終わらせてはならないと感じます。政府という巨大な買い手が最新技術を積極的に取り入れることで、停滞気味の国内IT産業に刺激を与え、技術革新を促す呼び水にすべきです。2019年11月12日現在、日本のビジネス環境は国際的に見ても低迷していますが、霞が関が「脱・自前」を貫き通せるかどうかが、日本再生の試金石となるでしょう。
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