2019年11月12日、日本経済新聞社による「スマートワーク経営調査」の結果が発表され、激化するグローバル競争の中で日本企業がいかにして独自の地位を築こうとしているのか、その最新戦略が浮き彫りになりました。現在、多くの企業が単なる製品開発の枠を超え、ブランド価値を飛躍させるための大規模なM&A(合併・買収)や、緻密な情報発信に全力を注いでいます。
特に大きな注目を集めたのが、化粧品大手である資生堂の動向です。同社は2019年11月7日、米国のスキンケアブランド「ドランク・エレファント」を約900億円という巨額の資金で傘下に収めました。この企業は設立からわずか7年ほどですが、環境や肌への優しさを徹底する「クリーン」な化粧品という独自の立ち位置で、欧米の若年層を中心に絶大な支持を集めています。
SNS上では、この買収劇に対して「資生堂の本気が伝わってくる」「クリーンビューティーの波が日本にも本格的に上陸しそう」といった期待の声が数多く寄せられています。また、2019年4月に本格始動した「グローバルイノベーションセンター」への400億円規模の投資も含め、研究開発と広告宣伝の両輪で攻める同社の姿勢は、次世代のブランド像を模索する多くの企業にとって一つの指針となっているようです。
ソニーの「稼ぐ力」を支えるリカーリングモデルと半導体戦略
一方で、ソニーは「選択と集中」によって圧倒的な市場シェアを確保しています。その象徴が、ゲーム事業における「リカーリング」モデルの確立です。リカーリングとは、一度製品を売って終わりにするのではなく、継続的に利用料やサービス料を得る収益形態を指します。PS4を基点としたネットワークサービスの充実により、2019年3月期のゲーム事業売上高は2兆3000億円を超える驚異的な数字を記録しました。
さらに、スマートフォンやカメラに不可欠なイメージセンサーにおいても、ソニーは2018年時点で世界シェア51%という過半数の地位を占めています。自動運転技術の進展を見据え、長崎県に1000億円規模の新工場を建設し2021年度の稼働を目指すなど、成長分野への投資を惜しみません。こうした「勝てる領域」を確実に見極める力こそが、今の日本企業に最も求められている資質だと言えるでしょう。
国内に目を向ければ、TOTOがショールームでの接客体制を強化し、2019年4月からスタッフの目標設定を精緻化するなど、顧客満足度を高める地道な努力を続けています。筆者の意見としては、こうしたリアルの接点と、SNSやブログなどのデジタルデータを活用した分析をいかに融合させるかが今後の分かれ道になると考えます。調査ではデジタル分析を行う企業は12.0%に留まっており、ここにはまだ大きな成長のチャンスが眠っています。
2019年11月12日現在の情勢を見る限り、市場を開拓するためには、自社の強みを「見える化」し、世界中の消費者が何を求めているのかをリアルタイムで察知する仕組み作りが不可欠です。伝統ある日本企業がテクノロジーと柔軟な発想を武器に、どのように世界市場でプレゼンス(存在感)を高めていくのか。その挑戦は、まさに今、新しいフェーズに入ったと言っても過言ではありません。
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