2019年11月29日現在、テレビ用液晶パネルの市場に変化の兆しが見え始めています。2019年10月の指標となる32型液晶パネル(バックライトなどの部品を含まない「オープンセル」と呼ばれる半製品)の大口取引価格は、1枚あたり約32ドル前後となりました。これは前月と比較して約3%の下落にあたりますが、2ケタ近い急落を記録していた2019年6月から8月の時期と比べると、その下げ幅は確実に縮小しています。
大型の55型パネルについても、2019年10月は101ドル前後と13カ月連続の値下がりを記録しました。しかし、8月には1割以上の暴落を見せていたことを考えれば、4%安に留まった10月の推移は、底打ちを予感させる内容といえるでしょう。SNS上では「テレビが安く買えるのは嬉しいけれど、メーカーの経営が心配」「高精細な大型モデルへの買い替え時期に悩む」といった、価格動向に敏感な消費者の声が数多く寄せられています。
ここで注目すべきは、なぜ価格の下落が緩やかになったのかという背景です。これまで液晶市場は、技術向上を果たした中国メーカーによる猛烈な増産によって、需要を上回る供給が続く「供給過剰」の状態にありました。しかし、採算が悪化したことで各社が方針を転換しています。例えば韓国のサムスンディスプレーやLGディスプレーは、より付加価値の高い「有機EL(自ら発光する素子を用いた次世代ディスプレイ)」への移行を加速させているのです。
さらに、安値攻勢を続けてきた中国メーカー側も減産の動きを見せており、市場に出回るパネルの総量が絞られつつあります。米調査会社の専門家によれば、こうした各国の生産調整によって、今後の価格推移は横ばいへと向かう可能性が高いとのことです。メディア編集者としての私の主張は、この「下げ止まり」こそが、単なる低価格競争から、品質や新技術を競う本来の健全な市場競争へと立ち戻るための、重要なステップになるのではないかと感じています。
私たちは今、格安テレビの時代の終焉と、より鮮やかで高品質な映像体験が主役となる新時代の狭間に立っているのかもしれません。2019年末に向けて、パネル価格の安定がテレビ製品の店頭価格にどう反映されるのか、今後の各メーカーの戦略から目が離せません。過度な安売り合戦が落ち着くことは、結果として私たちがより長く愛用できる優れた製品の開発を後押しすることに繋がるはずだと、強く確信しております。
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