空の旅が、地球の未来を想う優しいひとときへと生まれ変わろうとしています。ANAホールディングスは、2020年度末までを目標に、航空機内や空港ラウンジで提供している使い捨てプラスチック製品の総重量のうち、約70%をバイオプラスチックや木製といった環境配慮素材へと切り替える方針を固めました。世界中で「脱プラ」の波が押し寄せるなか、日本の航空業界をリードする同社の決断は、持続可能な社会への大きな一歩となるでしょう。
今回の施策は、2020年2月1日から段階的に導入される予定です。まず注目すべきは、機内やラウンジで年間1050万個も消費されているマドラーの変更です。現在はポリプロピレンという、加工しやすく安価な反面、自然界で分解されにくい石油由来のプラスチックが使われていますが、これを温かみのある木製へと移行します。手触りや見た目の質感も変わり、乗客にとっては新しい空の体験になりそうですね。
さらに、利便性の象徴でもあったストローやカトラリーにもメスが入ります。年間400万本にのぼるストローは、2020年4月からバイオプラスチックや紙製に順次変更されます。ここで言う「バイオプラスチック」とは、トウモロコシなどの植物資源を原料とした素材のことで、燃焼しても大気中の二酸化炭素を増やさない「カーボンニュートラル」な特性を持っています。技術の進化が、私たちの便利さと環境保護を両立させているのです。
欧州から広がる「飛び恥」の衝撃と航空業界の使命
なぜ、今これほどまでに急ピッチな対応が求められているのでしょうか。背景には、特に欧州を中心に急速に広まっている環境意識の高まりがあります。スウェーデンから始まった「フライト・シェイム(飛び恥)」という言葉に象徴されるように、二酸化炭素排出量の多い航空機利用を控える動きが社会現象となっているのです。KLMオランダ航空が、自ら「不必要な飛行機利用を控えて」と訴える異例のキャンペーンを展開したことも、業界に衝撃を与えました。
SNS上では、このANAの発表に対して「日本の企業もようやく本格的に動き出した」「紙ストローは少し使いにくいけれど、環境のためなら応援したい」といった前向きな声が多く寄せられています。一方で、コスト増や利便性の低下を懸念する意見も見受けられますが、海洋プラスチックごみによる生態系への深刻な被害を考えれば、もはや避けては通れない道であることは間違いありません。
私個人としては、今回のANAの決断を心から支持します。単なるポーズではなく、総重量の7割という具体的な数値を掲げた点に、企業の強い覚悟を感じるからです。飛行機に乗ることが「環境を壊す行為」ではなく、「先進的な環境技術を支える体験」へと昇華されることを期待してやみません。2019年11月15日に発表されたこの計画が、日本の他の産業にも大きな刺激を与えることは確実でしょう。
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