2019年6月21日に発表されました日立製作所の人事異動は、同社が推進するデジタルソリューションと品質管理の強化への強い意欲を示しているといえるでしょう。特に、人々の暮らしを支えるインフラやモビリティの分野において、新たな技術を取り込み、ビジネスを加速させる狙いが透けて見えてまいります。具体的には、品質保証やライフ事業統括本部、そして注目度の高いコネクティッドカー本部などで、重要な役職に新任の担当者が就任いたしました。
まずは、全社的な取り組みとして重要度が増している**「品質保証」の体制強化が挙げられます。2019年7月1日付で、小林毅氏がグループ・コーポレート品質保証統括本部長と品質保証本部長を兼任される運びとなりました。さらに、品質保証本部副本部長を務めていた加藤浩之氏が、同統括本部のサービス・ソフト品質強化本部長に就任しています。これは、モノだけでなく、サービスの提供やソフトウェアの分野でも、日立グループ全体の品質をより一層高めていこうという強い決意の表れでしょう。昨今、SNSでは製品・サービスの信頼性が話題となることも多く、この動きはユーザーからの期待にも応えるものとなりそうです。
また、人々の生活に密接に関わるライフ事業統括本部では、「デジタルフロント事業本部」**の強化が進められています。中野洋樹氏がデジタルスマートシティ本部長とプロジェクト推進を兼任し、大窪浩嗣氏がプロジェクト企画の担当に就かれています。ここでいう「デジタルスマートシティ」とは、AIやIoTといったデジタル技術を活用し、都市機能や人々の生活をより便利で快適に、そして持続可能にする取り組みのことです。日立製作所は、この分野を今後の成長の柱の一つと位置づけており、今回の人事はその戦略的な布石といえるでしょう。
次世代モビリティ戦略の中核「コネクティッドカー本部」に新風
そして、今回の人事のハイライトの一つが、コネクティッドカー本部の大幅な体制変更です。三浦修一郎氏が本部長と事業開発を兼任し、この最先端分野を牽引していくこととなります。コネクティッドカーとは、一言でいえば「インターネットとつながる車」のことです。車載センサーや通信機能を活用し、走行データや交通情報を集めたり、遠隔で車の状態を診断したりすることを可能にする技術を指します。自動運転(AD)や先進運転支援システム(ADAS)の進化に欠かせない領域であり、自動車業界の未来を左右する極めて重要な事業なのです。
コネクティッドカー本部では、日立オートモティブシステムズでAD/ADAS・BUシステム開発に携わっていた成沢文雄氏がシステム開発に、同じくシステム設計本部で活躍していた赤坂伸洋氏がAD/ADASシステム設計に就任されています。さらに、情報通信システム設計には桜井康平氏が就くなど、関連会社の専門知識を持つ人材を本体の重要ポストに配置することで、グループ全体としての知見を結集し、事業開発のスピードを速めたいという意図が感じられます。鉄道やビルシステムといった他の事業部門でも、それぞれ村上壮太氏や金沢隆宏氏といったキーパーソンが生産・モノづくり戦略の中核を担うことになりました。今回の多岐にわたる人事は、日立製作所が描く未来の社会インフラとデジタル技術の融合を、一歩ずつ着実に進めるための体制強化策である、と評価できるでしょう。
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