中国経済の2020年は「5%台」突入の瀬戸際か?著名学者が説く米中摩擦を逆手に取った構造改革の勝機

世界が注視する中国経済の行方について、中国社会科学院の著名な研究員である張斌氏が2019年11月14日までに、今後の成長率や景気対策の展望を語りました。現在の中国は統計上の数字以上に厳しい局面にあるようです。張氏は「現在の6%という成長率は、本来持っている潜在的な成長力(その国が無理なく達成できる経済成長の勢い)を下回っている」と鋭く指摘しています。

景気の体温計ともいえる物価指標を見ると、その深刻さが浮き彫りになります。食品を除いた消費者物価の低迷に加え、企業の間で取引される卸売物価指数もマイナスに転じているのです。これは「デフレ(物価が下がり続け、経済活動が停滞する現象)」への懸念を示唆しています。製造業の景況感も冷え込んでおり、経済を支えてきた不動産市場にも不振の影が忍び寄っているのが現状でしょう。

ネット上では、この冷え込みに対して「中国の高度成長期がついに終わるのか」「世界経済への影響が怖すぎる」といった不安の声が広がっています。こうした状況に対し、張氏は政府がより踏み込んだ財政政策を打ち出すべきだと提言しました。具体的には、債券の発行によって資金の使い道を広げ、インフラ投資を合理的な水準まで引き上げることで、経済の土台を支える必要があると考えているようです。

一方で、リーマン・ショック後に行われたような大規模な景気刺激策には慎重な姿勢を崩していません。かつての過剰な投資は、現在の中国が抱える「債務問題(国や企業の借金が膨らみすぎること)」という重い後遺症を生み出したからです。そのため、今後は大規模なカンフル剤を打つのではなく、状況に応じた小幅な政策調整を繰り返す繊細な舵取りが求められることになるでしょう。

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米中貿易摩擦は「毒」か「薬」か?問われる構造改革の断行

気になる人民元の先行きについて、張氏は独自の視点を示しています。2019年夏には1ドル=7元の節目を超えて元安が進みましたが、長期的には対ドルで上昇に転じると予測しました。アメリカ経済が減速の兆しを見せる一方で、中国経済はいずれ反転へと向かう底力を持っているという自信の表れかもしれません。通貨の強さは、その国の経済的信頼を映し出す鏡とも言えるのです。

難航する米中貿易摩擦についても、冷静な分析がなされています。アメリカ製の物品やサービスを購入するといった「形に見える合意」は比較的容易でしょう。しかし、産業補助金のあり方といった「構造問題」は、政治の深い部分に根ざしているため、短期決戦での全面解決は極めて困難です。できる部分から段階的に合意を積み重ね、関係をこれ以上悪化させないことが最善の策だとしています。

ここで注目すべきは、張氏がこの貿易摩擦を「改革の好機」と捉えている点です。外部からの圧力がある今こそ、これまで歪んでしまった経済構造を正すチャンスだという主張には、編集者としても非常に共感いたします。痛みを伴う改革であっても、それを成し遂げることは中国だけでなく、結果としてアメリカや日本を含む世界経済全体の利益へとつながっていくはずです。

2020年の成長率目標については、6.2%前後が妥当なラインとされつつも、何もしなければ5%台への転落も現実味を帯びてきます。SNSでは「5%台になれば世界が揺れる」という警戒論も根強いですが、数字の維持に固執して本質的な改革を先送りにすることこそ、真のリスクではないでしょうか。中国がどのようにこの難局を「進化」へと変えていくのか、その手腕が試されています。

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