2019年の秋、日本中がラグビーワールドカップの熱狂に包まれています。自国開催という歴史的な舞台で、快進撃を続ける日本代表「ブレイブ・ブロッサムズ」の姿に、胸を熱くしている方も多いことでしょう。そんな中、代表チームの躍進をひときわ感慨深い思いで見つめている企業があります。福岡県宗像市を拠点とする「宗像サニックスブルース」を擁する、株式会社サニックスです。同社の井上公三取締役は、所属選手の活躍が社内にポジティブな風を吹き込んでいると、笑顔で語ってくださいました。
今回の大会で注目を集めているのが、同社所属のジェームス・ムーア選手です。ロックという、スクラムの軸となり体を張ってボールを奪い合う、まさに「縁の下の力持ち」と呼べるポジションで、彼は驚異的な運動量を披露しています。実はムーア選手、2018年にチームへ加入してから日本代表として試合に出場するための資格、いわゆる「キャップ」をわずか1年半という異例のスピードで獲得しました。それまで社内での認知度は決して高くありませんでしたが、大舞台での勇姿が状況を一変させたのです。
SNS上では「ムーア選手のタックル精度が凄すぎる」「サニックスにこんな逸材がいたなんて!」といった驚きの声が相次いでいます。井上取締役によれば、テレビ画面を通じて体を張る同僚の姿を見た社員たちの間で、ムーア選手への親近感が一気に高まったそうです。普段は寡黙に練習に励む一人の選手が、日本を背負って戦うヒーローへと変貌を遂げたプロセスは、多くの従業員にとって誇りとなりました。自社チームから世界へ羽ばたく存在が出たことで、組織の士気はかつてないほど高まっています。
組織を支えるワンチームの精神と未来への期待
サニックスとラグビーの関係は深く、現在の代表を率いるジェイミー・ジョセフヘッドコーチも、かつてはこのチームに在籍していました。いわば、日本ラグビーの強化を支える土壌がここにはあったと言えるでしょう。井上取締役は、代表選手の活躍が直接的な営業利益や売上の向上にすぐ結びついているわけではないと冷静に分析されています。しかし、数字には表れない「社内の一体感」という極めて重要な財産を得られたことは、企業経営において何物にも代えがたい収穫であったと強調しています。
編集者としての私の視点では、この「一体感」こそが現代の企業が最も必要としているエネルギーだと感じます。個々の社員がバラバラに動くのではなく、一人の仲間を応援することを通じて心が一つになる体験は、組織のレジリエンスを強固にするでしょう。ムーア選手の献身的なプレースタイルは、まさにサニックスが大切にしている「泥臭く、誠実に」という社風を体現しているかのようです。スポーツの力がビジネスシーンにおける結束力を高める、理想的なモデルケースがここにあります。
2019年11月15日現在、ワールドカップの熱気は冷めるどころか、次なるステージへの期待でさらに高まっています。サニックスの社内で芽生えたこの熱い連帯感が、今後どのような化学反応を起こしていくのか非常に楽しみです。一つのトライが日本中を勇気づけたように、ムーア選手の活躍はサニックスという組織に新しい可能性という名のパスを回したに違いありません。ラグビーが教えてくれた「ワンチーム」の精神は、これからの日本社会においても重要なキーワードになるはずです。
コメント