2019年11月20日、大相撲九州場所は10日目を迎え、福岡県出身のご当地力士として絶大な人気を誇る元大関・琴奨菊に厳しい現実が突きつけられました。阿武咲を相手に迎えた一番では、立ち合いから一気に攻め込まれる展開となり、なす術なく寄り倒されてしまったのです。この瞬間、館内には悲鳴にも似た溜息が響き渡り、地元の期待を背負ったベテランの敗北を誰もが惜しみました。
これで琴奨菊は痛恨の4連敗を喫し、4場所連続の負け越しが確定してしまいました。負け越しとは、本場所の15日間で負けの数が勝ちを上回ることを指し、番付の陥落に直結する非常にシビアな結果です。連日の完敗に、本人も「何だかしっくりこない。失うものはないはずなのに」と、心境を吐露しました。自分の感覚と実際の動きが噛み合わないもどかしさが、その表情からは痛いほど伝わってきます。
SNS上では、この結果に対して「琴奨菊のルーティンが見られなくなるのは寂しい」「地元だからこそ勝たせてあげたかった」といった、ファンからの熱い声が溢れています。かつての大関が苦境に立たされる姿に胸を痛めるファンは多く、ベテランの進退を心配する声と、それを上回るほどの「最後まで諦めないでほしい」というエールが混ざり合い、タイムラインは異様な熱気に包まれている状況です。
不屈の精神を燃やす35歳、元大関が語る「再起」への執念
今場所は初日以降、横綱・鶴竜や大関・豪栄道といった琴奨菊と同年代の有力力士たちが相次いで休場する事態となっています。35歳という年齢を考えれば、肉体的な衰えを指摘する声が出てしまうのはプロの世界では仕方のないことかもしれません。しかし、かつての幕内最高優勝経験者である彼の心火は、まだ消えていないようです。「まだ老け込むような年齢ではない」という言葉に、彼の矜持が凝縮されています。
実際にその執念は、取組後の行動にも如実に表れていました。負け越しが決まった直後であるにもかかわらず、風呂上がりには付け人を相手にして入念に立ち合いの角度や当たりを確認していたのです。立ち合いとは、仕切り線から両力士が同時に立ち上がってぶつかり合う、相撲の最も重要な初動を指します。この基本を徹底して見直す姿勢に、現役続行への強い意志が感じられるでしょう。
個人的な見解を述べさせていただくなら、スポーツにおいて「衰え」は避けられない壁ですが、それを技術と精神力で補おうとするベテランの姿こそ、観客の心を最も打つものです。琴奨菊の代名詞とも言える「がぶり寄り」が再び炸裂する日を、ファンは信じて待っています。この苦境を乗り越えて土俵に立ち続ける姿は、同世代のファンにとっても大きな勇気になるに違いありません。
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