私たちが普段、何気なく使っている読点の「、」。しかし、お役所が発行する公文書の世界では、今でも「,(コンマ)」が主流だということをご存知でしょうか。2019年11月20日、文化庁はこの半世紀以上も続いてきた独特のルールについて、ついに見直しに向けた検討を開始しました。
このルールの根拠は、なんと1952年4月に当時の官房長官から出された「公用文作成の要領」にまで遡ります。戦後の公文書を「読みやすく、能率的に」という目的で定められたこの指針は、横書きの際にはコンマと句点の「。」を用いるよう定めていました。当時は英語の普及に伴い、ピリオドの使用も検討されたというから驚きですね。
時代に逆行する「役所ルール」の限界
しかし、強制力のないこのルールは、一般社会にはほとんど浸透しませんでした。2012年の調査では、省庁や自治体の中で厳格にコンマを守っているのはごく一部で、多くが「テンとマル」の組み合わせに移行しています。パソコンの普及により、日本語入力ソフトの標準設定が「、」であることも、この流れを加速させたのでしょう。
SNSやインターネット上では「なぜ公文書だけコンマなのか違和感があった」「裁判所や法務省のサイトだけ独特な空気を感じる」といった声が上がっています。多くの人が日常的に接するテキスト形式と乖離していることが、公的な情報を遠ざける一因になっているのかもしれません。
文化庁の専門家会議では、2020年春にもこの表記問題に関する結論を出す見通しです。編集部としては、言葉は時代と共に変化する生き物だと考えています。形式に固執して「お役所仕事」と揶揄されるよりも、国民がストレスなく読める「生きた日本語」を公式に採用することこそ、本来の目的であるはずです。
コメント