2019年11月22日、日本の株式市場に激震が走っています。政府が進める外国為替及び外国貿易法(外為法)の改正案に対し、海外投資家から不安の声が噴出しているのです。ゴールドマン・サックス証券の副会長を務めるキャシー・松井氏は、この現状を非常に危ういものだと指摘されています。
特に投資家を悩ませているのは、事前届け出が必要な投資と免除される投資の境界線が曖昧な点です。外為法とは、日本の安全保障に関わるような重要な技術や事業が海外へ流出しないよう、対内直接投資を管理する法律のことですが、その定義が不明確なままでは、リスクを恐れて日本への投資を控える動きが加速するでしょう。
SNS上でも「せっかく日本企業のガバナンスが良くなってきたのに、これでは鎖国に近い」といった悲観的な意見や、「安全保障は大事だが、運用のルールがブラックボックスすぎる」という批判が目立ちます。世界中の市場が投資マネーを奪い合っている現在、わざわざ不透明な日本市場を選ぶ理由は乏しいと言わざるを得ません。
日本株が近年、世界から評価されてきた背景には、コーポレートガバナンス(企業統治)の改革がありました。これは、経営陣を監視し、株主の利益を最大化する仕組みのことです。アクティビストと呼ばれる「物言う株主」たちが日本企業に変化を促してきた功績は大きく、今回の規制がその流れを止めてしまうことが危惧されます。
バリュエーション低下の危機と透明性の確保
もし企業統治の改善が止まってしまえば、日本株は再び割安なまま放置される「ジャパン・パッシング(日本素通り)」の状態に陥るでしょう。松井氏は、株価の割安度を測るバリュエーションが低下し、最終的に深刻な株安を招く可能性について強い危機感を表明されています。
こうした事態を避けるためには、政省令での運用ルールを極限まで明確化することが不可欠です。誰がどのような基準で規制の是非を判断するのか、そのプロセスを客観的に示す機関の設置も検討すべきでしょう。透明性が失われれば、良質な投資まで排除してしまう「意図せざる副作用」を生むことになります。
私は、安全保障の強化という目的自体は否定しませんが、今のやり方はあまりに硬直的だと感じます。例えば、信頼できる投資家には一定期間の投資を包括的に許可する「許可制」の導入など、より柔軟でスマートな手法があるはずです。投資促進と安全保障は、決してトレードオフの関係であってはなりません。
2019年11月22日現在の議論を注視すると、国内の機関投資家も含めた開かれた対話が不足しているように見受けられます。日本が魅力的な市場であり続けるためには、規制を強化する側が投資家の心理をより深く理解し、世界基準の透明性を持って説明を尽くす義務があるのではないでしょうか。
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