【書評】中国の二元構造を解き明かす!浜口允子著『現代中国都市と農村の70年』が示す農村問題の真実

2019年11月23日現在、米中貿易摩擦などのニュースにより、世界中から強大な覇権国家としてのイメージが投影されている中国。しかし、その華々しい経済発展の裏側には、建国以来一度も解消されていない深刻な歪みが潜んでいます。浜口允子氏の著書『現代中国都市と農村の70年』は、私たちが抱きがちな「強い中国」という偏った視点を正し、この国が抱え続ける宿命的な課題を浮き彫りにする一冊です。

本書は現代中国の成立にまで遡り、都市と農村が切り離された「二元構造」の成り立ちを丹念に紐解いています。この二元構造とは、戸籍制度などによって都市住民と農村住民を明確に区別し、社会的な権利や経済的な恩恵に大きな格差を生じさせている仕組みのことです。長年にわたり中国を鋭い観察眼で見守ってきた著者だからこそ、膨大な資料を基に、この複雑怪奇なシステムの歴史的変遷を非常に落ち着いた筆致で解説してくれます。

SNS上では、急速な都市化の陰に隠れた農村の困窮に対し、「中国の本当の姿を知るための必読書」といった驚きの声が上がっています。多くの読者が、華やかな上海や北京のビル群だけでは語り尽くせない、この国の構造的なジレンマに衝撃を受けているようです。専門的な歴史背景を扱いながらも、現代の習近平政権が掲げる「農村振興」という大きな目標にまで言及しており、今読むべき一冊として高い関心を集めています。

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習近平政権の命運を握る「文件」と農村振興の行方

現在の習近平政権が、中央一号文件(いちごうぶんけん)という重要な公文書で示した決意をいかに実行に移すかが、今後の中国を占う上での焦点となるでしょう。この文件とは、中国共産党がその年の最優先課題として発表する方針のことで、近年は一貫して農業や農村の発展がテーマに据えられています。長年放置されてきた都市との格差を埋めることが、政権の安定にとって避けて通れない最重要ミッションとなっている事実は見逃せません。

私個人の見解としては、デジタルの力で急速に進化する都市部に対し、依然として旧態依然とした制度に縛られる農村の対比は、一国家の中に二つの国が存在するような危うさを感じます。国家の強靭さを誇示する一方で、足元の農村問題に苦悩する中国の姿は、単なる他国の出来事ではなく、格差社会を生きる私たちにとっても示唆に富む内容です。表面的なニュースに惑わされず、この国の本質を理解したい方に強く推薦したい名著といえます。

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