阿部一二三が執念のV奪還!丸山城志郎との死闘を制すも東京五輪代表争いは混沌の様相へ【柔道GS大阪】

大阪の地に、畳を揺らすほどの熱気と興奮が帰ってきました。2019年11月22日、丸善インテックアリーナ大阪にて開幕した「柔道グランドスラム大阪」の第1日は、まさに手に汗握る激闘の連続となったのです。特に注目を集めたのは、東京五輪への切符をかけた男子66キロ級の頂上決戦。昨年まで世界選手権を2連覇していた阿部一二三選手(日体大)が、現世界王者の丸山城志郎選手(ミキハウス)を延長戦の末に破り、2年ぶり4度目の栄冠に輝きました。

試合終了の瞬間、阿部一二三選手の咆哮が会場に響き渡りました。SNS上では「これぞ宿命の対決!」「意地と意地のぶつかり合いに涙が出た」といった感動の声が溢れかえっています。対戦相手の技を封じ、自らの攻勢を貫く柔道スタイルを貫徹した彼が、ライバルから執念で奪い取った勝ち星といえるでしょう。この勝利により、一時は丸山選手が独走するかと思われた五輪代表レースは、再び誰が選ばれてもおかしくない白熱した展開へと引き戻されました。

ここで「グランドスラム」という大会について少し解説しておきましょう。これは国際柔道連盟が主催するワールドツアーの中で、世界選手権やマスターズに次ぐ高い格式を誇る大会です。獲得できるポイントが非常に高いため、五輪出場を狙う選手にとっては避けては通れない最重要局面となります。地元開催となるこの大阪大会での結果は、強化委員会の選考にも絶大な影響を及ぼすため、どの選手も並々ならぬ覚悟で畳に上がっているのです。

スポンサーリンク

無敵の女王・阿部詩にまさかの暗転、東京五輪内定は持ち越しへ

一方で、確実視されていた「五輪内定」が目前でこぼれ落ちる波乱も起きています。女子52キロ級では、世界選手権2連覇中で圧倒的な強さを誇る阿部詩選手(日体大)が登場しました。決勝まで順当に勝ち進んだ彼女でしたが、フランスの実力者アマンディーヌ・ブシャール選手を前に苦戦を強いられます。延長戦にもつれ込む消耗戦の末、最後は優勢負けを喫し、準優勝という結果に終わりました。

もし今大会で阿部詩選手と丸山選手が優勝していれば、東京五輪の代表に内定する可能性もありましたが、この敗戦によってそのシナリオは消滅したことになります。勝負の世界の厳しさを痛感させる結果となりましたが、ファンからは「負けを知った詩ちゃんはさらに強くなる」「五輪本番でリベンジしてほしい」といった温かいエールが送られています。最強の兄妹が揃って五輪の舞台に立つ姿を見たいと願う人々にとって、期待と不安が入り混じる一日となりました。

その他の階級でも、日本勢の層の厚さが証明されています。男子60キロ級ではリオデジャネイロ五輪銅メダリストの高藤直寿選手(パーク24)が、ライバルの永山竜樹選手(了徳寺大職)を破り、2年ぶり5度目の優勝を飾りました。また、女子48キロ級では渡名喜風南選手(パーク24)が見事に2連覇を達成し、安定感を見せつけています。57キロ級で初優勝を飾った玉置桃選手(三井住友海上)の躍進も、今後の日本女子柔道界に新しい風を吹き込むことでしょう。

編集者の視点から申し上げれば、今回の阿部一二三選手の勝利は、単なる1勝以上の価値があると感じます。追い込まれた状況でライバルを下す精神力は、本番の五輪で金メダルを獲るために不可欠な要素だからです。一方で、絶対女王と呼ばれた詩選手の敗北は、世界が日本を徹底的に研究している証左でもあります。2019年11月22日に刻まれたこの激闘の記憶は、来年の大舞台に向けた壮大なプロローグに過ぎないのかもしれません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました