静岡県内の経済を支える企業たちが、今まさに大きな岐路に立たされています。帝国データバンク静岡支店が2019年11月23日までにまとめた調査によれば、県内企業の後継者不在率は59%という極めて高い水準で横ばい状態が続いています。全国平均の65%と比較すれば数字の上では低く見えますが、実態は決して楽観視できるものではないでしょう。
今回の調査は、静岡県内約7500社という膨大なデータベースを基に算出されました。行政や金融機関が「事業承継(じぎょうしょうけい)」、つまり会社の経営権を次世代へ引き継ぐための支援を強化しているにもかかわらず、不在率に変化が見られない点は注目に値します。この現状に対しSNSでは「身近な名店が消えるかも」といった危機感や不安の声が広がっています。
同族志向が強い静岡の特殊性と浮き彫りになる課題
静岡県の特徴として顕著なのが、自分の子供や親族に後を継がせたいと考える「同族承継」へのこだわりです。後継者候補が決まっている約3000社のうち、実に43%が実子を指名しています。一方で、従業員や外部の優秀な人材に託す「非同族承継」は27%に留まっており、全国平均の33%を大きく下回る結果となりました。
ここで言う非同族承継とは、親族以外の第三者が経営を担うことですが、保守的な土壌が残る本県ではまだ十分に浸透していない様子が伺えます。業種別に見ると、建設業の不在率が69%と最も深刻であり、不動産業やサービス業でも6割を超える企業が将来の担い手を欠いています。対照的に製造業は52%と低く、技術継承への意識の高さが数字に表れました。
経営者の年齢層別データを見ると、30代から60代では不在率が改善傾向にある反面、70代や80代以上の高齢経営者層では不在率がわずかに上昇するという逆転現象が起きています。引退が間近に迫る世代ほど、かえって後継者選びが難航しているという皮肉な現実は、企業の存続を脅かす深刻なタイムリミットを提示しているといえます。
編集者が見る静岡の未来:今こそ柔軟な「経営のバトン」を
編集者の視点として、私は静岡企業の「伝統を守る姿勢」を尊重しつつも、もっと柔軟な考え方が必要だと感じています。子供に継がせたいという親心は理解できますが、血縁に縛られるあまり、外部の有能なリーダー候補を排除してしまえば、結果として会社そのものが倒産や廃業に追い込まれる「黒字廃業」のリスクを高めてしまいます。
これからは親族に限定せず、M&Aや社内昇進といった多様な選択肢を積極的に受け入れるべきでしょう。静岡の素晴らしい技術やサービスを次代へ繋ぐためには、経営者が「誰に継がせるか」ではなく「どうすれば会社が生き残れるか」を第一に考える決断力が求められています。2019年というこの時期を、古い慣習を脱却する契機にしたいものです。
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