過疎地の救世主となるか?静岡県松崎町で始動した「自動運転」の実証実験が描く地域の未来

静岡県松崎町の静かな山あいで、未来の交通網を切り拓く挑戦が幕を開けました。2019年11月27日、静岡県が進める「しずおかShowCASEプロジェクト」の第1弾として、自動運転車両が公道を力強く走り出しています。実験開始直後にはセンサー系統の不具合といったトラブルも見られましたが、これこそが現場でしか得られない貴重なデータと言えるでしょう。

SNS上では、この取り組みに対して「高齢者の移動手段として期待したい」という前向きな意見がある一方で、「あの狭い道で本当に大丈夫なのか」といった、技術への不安や関心の高さがうかがえる声も目立っています。こうした期待と不安が入り混じるなかで、10日間にわたる走行実験が、どのような知見を私たちにもたらしてくれるのかに熱い注目が集まっているのです。

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「レベル3」の先に見据える二つの未来像

今回の実験で採用されているのは「レベル3」と呼ばれる自動運転技術です。これは、特定の条件下においてシステムが運転を担いますが、緊急時には人間が操作を引き継ぐことが前提の段階を指します。いわば、機械と人間が手を取り合ってハンドルを握るような状態といえるでしょう。静岡県はこの先に、社会実装へ向けた二つの大きなシナリオを描いています。

一つは、技術革新によって人間が一切関与しない「完全自動運転(レベル4から5)」を実現させるという夢のある方向性です。そしてもう一つは、運転手に求められる「大型二種免許」などの厳しい資格要件を緩和し、システムのアシストによって誰もがバスを運行できるような社会制度そのものを変えていく現実的なアプローチとなっております。

後者の案が実現すれば、例えば地域のパートスタッフを雇用してバスを走らせるといった、柔軟な運用が期待できるはずです。深刻な人手不足に悩む地方の交通事情を鑑みれば、これは極めて画期的で、内閣府も補助金を通じてこのプロジェクトの成否に強い関心を寄せています。

立ちはだかる「物理的な道」と「制度の壁」

しかし、理想の裏側には依然として高いハードルがそびえ立っています。実験の舞台となる県道121号線は、中型バスがすれ違うのにも高度な技術を要する難所です。運行を担う東海自動車の早川社長も、狭い道でのすれ違いには慎重な姿勢を崩しておらず、現在のところはパート採用による運転手の導入などは時期尚早であるとの見解を示されています。

私個人としては、単に技術の向上を待つだけでなく、自動運転に適した道路整備や車両サイズの小型化など、多角的な視点での議論が必要不可欠だと感じます。たとえ採算が取れていても、担い手がいないために消えゆく路線を救うためには、テクノロジーと法改正の両輪が噛み合うことが、今もっとも求められているのではないでしょうか。

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